近年、賃貸経営(不動産投資)をする人が多くなりました。
そこでこの記事では
ということなどについて解説していきます。
賃貸経営者が多くなった理由
「平成30年度分建築着工統計調査報告(国交省より)」を確認すると、年間100万戸のいわゆる「住宅大量供給」が長期的に継続していたことが分かります。
ですがサブプライムローン問題(2007年)やリーマンショック(2008年)により、住宅供給はかなり減り、そこからは100万戸に回復していません。
そのような状況下で、2014年あたりから低迷していた貸家の割合が上がり、住宅市場全体を引っ張っていました。
これには2015年元日の相続税の改正が大きく影響しています。
「基礎控除の大幅減額」により、特に「高い資産価値のある、好立地である都市部の不動産」などを持っている人にとっては、相続税による負担がさらに増大したのです。
具体的な基礎控除の変化は以下の通りです。
改正前:5000万円+(1000万円×法定相続分)
改正後:3000万円+(600万円×法定相続分)
この時期に改正されたことには、国の財政課題が関係しています。
バブル期に土地価格が上がったことで、相続税の基礎控除も引き上げられました。
ですがバブルが弾けたことにより土地価格が下がっても、相続税の基礎控除はほぼ変わらず、徐々に税率も引き下げられていきました。
そして相続税にはもともと「社会全体で資産の再分配をする」という役割があったものの、この目的があまり果たされなくなってしまいました。具体的には「課税される方の割合(課税件数割合)が死亡者の4%ほどしかない」という状況が続いていました。
そこで、「社会保障と税の一体改革」の一つとして、消費税を5%から8%に上げる(2013年度の税制改正)とともに、相続税も見直されたのです。
これにより「相続税による税収」も少しずつ多くなっていきました。2015年度以降も負担割合はあまり変化していないものの、課税件数割合は約8%にまで上がっています。
簡単にまとめると、「相続税率が上がったことにより、その対策として賃貸経営(不動産投資)を検討する人が増えた」ということになります。
不動産を活用して相続税を減らす方法
相続税を減らすためには、
- 相続税がかかる財産評価を落とすこと
- 控除や特例をできる限り利用すること
が重要です。
一例として、「土地の相続税評価=公示価格の80%」となっています。つまり、市場価格と公示価格が同じなのであれば、それだけで20%下げることができるのです。
また、マンション用地や賃貸アパートとして使うと「貸家建付地」に分類されるようになりますから、自己保有のしている土地であっても一定比率で下げることが可能となります。
さらに「賃貸用の建物」を全て自分で使うことはできませんから、借家権分だけ下げることができます(通常は30%下がる)。
これらによって財産評価を落として、相続税の節税をすることが叶います。
加えて、マンションやアパートを建てるときには基本的に借金をすることになりますが、この負債額を「債務控除」として扱うことで、納税額を下げることができます。
そして、賃貸経営が上手くいっていれば、納税資金は「家賃収入(から必要経費を差し引いた分)」により安定的に作ることができるでしょう。
以上のように実物不動産投資をすることで、「相続税を減らすこと」と「納税資金の用意」ができます。そのためここ数年で、賃貸物件の建設ラッシュが発生したのです。
人口減少と空き家の増加
ですが日本の人口は2010年から減り続けており、今後回復する可能性も低いとされています。
具体的には2015年~2030年で人口が以下のように変動すると見られています(総務省や国立社会問題人口問題研究所のデータより)。
65歳以上の人口 | およそ369万人増 |
15~64歳の人口 | およそ753万人減 |
15歳未満の人口 | およそ268万人減 |
外国人労働者の受け入れも多くなっていますが、「人口流入によって、人口減少をカバーできる」という状態にならないと、「賃貸利用をしたい人」も減少し続けると言えます。
さて、2019年4月に総務省が公開した「住宅土地統計調査」では、空き家率がこれまでで最高となりました(13.6%)。
「10年前の数値と比較した場合の、実家の空き家(その他空き家)率の上昇比率」の1.29倍と比べると、「売却・賃貸用住宅の空き家率の上昇比率」は1.03倍と低いです。
ですが賃貸住宅の空き家数は400万戸を優に超えており、実数で言えばいまだに最多となっています。
不動産投資を成功させるためには?
賃貸経営(不動産投資)は基本的に長期的なものであり、撤退すること自体が難しいです。
ですが、不安定な時代の中でも、ケースバイケースで対応しやすくしておくためには、不動産投資は有効な選択肢の一つと言えます。
そして安定的に継続するためには、一定以上に知識を吸収しながら、いつでも新しく、かつ自分にとって有意義な情報を集めていくことが重要です。
一例として、民法が改正されれば契約関係の規則も変わります。また、この先さらに、お年寄り(特に一人暮らし)や外国人の入居を受け入れることが重要になっていくと思われます。
不動産投資を長期的に続けていく中で、常にこのような変化に適切に対応していく必要がありますから、信頼できる専門家からのサポートを受けることをおすすめします。
おわりに
まずは、「あなた自身がどれくらい知識を持って賃貸経営をするか」を定めましょう。
そして「持っている不動産が投資向きのものであるのか」もチェックし、あなたの将来計画に合った事業プランを練り、不動産投資を行っていくことが大事です。
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