特定空き家とは何か?特定空き家に指定されるとどんなデメリットがあるかについては、こちらの記事で紹介しました。
この記事では、特定空き家の指定基準について解説します。
特定空き家に指定される基準は主に次の4点です。
1.建築物が倒壊等するおそれがある
2.そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
3.適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
それぞれ解説します。
目次
1.建築物が倒壊等するおそれがある
判断基準は次の2点。
・建築物の著しい傾斜
・建築物の構造耐力上主要な部分の損傷等
2.そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
具体的には次のようなケースです。
(1)建築物又は設備等の破損等が原因で、以下の状態にある
・吹付け石綿(アスベスト)等が飛散し暴露する可能性が高い状況である
・浄化槽等の放置、破損等による汚物の流出、臭気の発生があり、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている
・排水等の流出による臭気の発生があり、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている
(2)ごみ等の放置、不法投棄が原因で、以下の状態にある
・ごみ等の放置、不法投棄による臭気の発生があり、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている
・ごみ等の放置、不法投棄により、多数のねずみ、はえ、蚊等が発生し、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている
3.適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
具体的には次のようなケースです。
(1)適切な管理が行われていない結果、既存の景観に関するルールに著しく適合しない状態となっている。
・景観法に基づき景観計画を策定している場合において、当該景観計画に定める建築物又は工作物の形態意匠等の制限に著しく適合しない状態となっている
・景観法に基づき都市計画に景観地区を定めている場合において、当該都市計画に定める建築物の形態意匠等の制限に著しく適合しない、又は条例で定める工作物の形態意匠等の制限等に著しく適合しない状態となっている
・地域で定められた景観保全に係るルールに著しく適合しない状態となっている
(2)その他、以下のような状態にあり、周囲の景観と著しく不調和な状態である。
・屋根、外壁等が、汚物や落書き等で外見上大きく傷んだり汚れたまま放置されている
・多数の窓ガラスが割れたまま放置されている
・立木等が建築物の全面を覆う程度まで繁茂している
・敷地内にごみ等が散乱、山積したまま放置されている
・看板が原型を留めず本来の用をなさない程度まで、破損、汚損したまま放置されている
4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
(1)立木が原因で、以下の状態にある。
・立木の腐朽、倒壊、枝折れ等が生じ、近隣の道路や家屋の敷地等に枝等が大量に散らばっている
・立木の枝等が近隣の道路等にはみ出し、歩行者等の通行を妨げている
(2)空き家等に住みついた動物等が原因で、以下の状態にある
・動物の鳴き声その他の音が頻繁に発生し、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている
・動物のふん尿その他の汚物の放置により臭気が発生し、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている
・敷地外に動物の毛又は羽毛が大量に飛散し、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている
・多数のねずみ、はえ、蚊、のみ等が発生し、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている
・住みついた動物が周辺の土地・家屋に侵入し、地域住民の生活環境に悪影響を及ぼすおそれがある
・シロアリが大量に発生し、近隣の家屋に飛来し、地域住民の生活環境に悪影響を及ぼすおそれがある
自治体による手続きを解説
空き家に対する自治体による手続き・措置について解説します。最悪は行政代執行されて、撤去等の費用を請求されます。
①空き家管理がされていない
②市町村長名で、調査の5日前までに立ち入り調査の通知が届く。拒んだり、忌避しようとすると20万円以下の過料
③立ち入り調査。市町村から適切な管理を促進するため、情報の提供、助言又は必要な処置の指導
改善が認められない場合
↓
④相当の猶予期間をつけて必要な措置をとることを勧告。※この時点で土地の固定資産税が6倍になる。ただし課税されるのは1月1日の所有者。
勧告に係る措置を取らなかった場合
↓
⑤猶予期間をつけて措置の命令。※命令に違反すると50万円以下の過料
↓
⑥行政代執行。自治体等が必要な措置をとって費用を請求される。※支払いを怠ると給与や不動産、預金が差し押さえられる可能性がある。所有者が不明であったり連絡がつかない場合は、公告した上で必要な措置を行う「略式代執行」ができる
まとめ
特定空き家の指定基準と自治体による措置について解説しました。
特定空き家に指定されるかどうかは、同じような状態であっても、担当者によって変わってくるようです。
特定空き家法は、各自治体の裁量によって決めることができる権限を与えた法律です。
特定空き家に指定されると、費用面でも精神面でも大きな負担になりますので、空き家の相続対策は早めに始めることをおすすめします。
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