実家に残った仏壇を処分する手順

1.仏壇の魂抜きをしてもらう

仏壇を家に入れた時、多くの宗派で、お坊さんによって魂入れや、お性根入れという仏教の儀式を行っているはずです。この儀式のことを開眼供養とも呼びます。

この魂入れの儀式によって、仏様や先祖の魂が仏壇に宿ることにより、ご供養の対象となります。したがって、仏壇を処分するときには、まずは「魂を抜く」という供養を行うことが最初のステップです。

この儀式を魂抜きや、お性根抜き、または閉眼供養といいます。寺院・お坊さんにこの儀式を依頼します。

2.仏壇の中身を分別する

お坊さんに魂抜き・お性根抜きをしてもらったら、仏壇を廃棄処分します。

そのときにはきちんと分別をしましょう。

市区町村のゴミ出しルールやマナーを守って処分します。

ただし、仏壇の中にある位牌や遺影などは、魂・お性根を抜いたからといって、心情的にはゴミに出すのに抵抗があるはずです。

位牌は遺影は自宅の仏壇に移すことをおすすめします。

3.仏壇を処分する

実際に仏壇を粗大ごみとして回収してもらえるかどうかは、お住まいの自治体に問い合わせてください。

自治体のゴミ回収には、大きく3つの方法があります。

  • 定期回収日に、指定のゴミ置き場に出す
  • 臨時ゴミとして、自宅まで回収
  • 焼却場へ自分で持ち込み

これらの内、ご自身で最適な方法を選んでください。

一部の寺院では、仏壇を持ち込めば、魂抜き・お性根抜きご供養と廃棄処分をすべて行なってくれる場合があります。

お近くの寺院に直接問い合わせてみましょう。

さらに、自分で処分する暇がないというときは、仏壇整理・処分業者というものがありますので、依頼してもよいかもしれません。

専門業者では、魂抜き供養から仏壇の回収処分、さらに位牌などのお焚き上げまで一式を、誰にも知られずにやってもらえます。

実家の空き家の仏壇は処分できたものの、位牌を自宅に置くにも仏壇がない場合はどうしたらよいでしょうか?

自宅に仏壇がないときはどうする?

自宅に仏壇がないときは、下記のようにコンパクト仏壇を購入するのもひとつの方法です。

仏壇を置きたくないという場合は位牌だけでも大丈夫

近年、さまざまな理由から仏壇を置かない、置けない家庭も増えています。

とはいえ、位牌だけでも祀ることはできないかと悩まれている方も多いのではないでしょうか。

結論として、位牌だけで供養しても問題ありません。

位牌が故人の魂であるのに対し、仏壇は位牌を納める家のようなものです。

家がなくても、故人をお祀りすることはできます。

では仏壇がない場合、位牌は家の中のどこに置けばよいのでしょうか?

ここからは位牌を置くのに適した場所と、適さない場所をお伝えします。

位牌を置くのに適した場所

基本的には位牌が邪魔にならず、手を合わせやすい場所が適しています。

しかし木で作られた位牌は繊細で傷みやすいため、できるだけ位牌へのダメージが少ない場所を選ぶのがポイントです。

位牌を置くのに適しているのが次の3ヵ所です。

  • リビング
  • 寝室
  • 床の間

リビング

木製の位牌は湿気に弱いため、風通しの良いリビングは位牌を置くのに適した場所です。

リビングは家族が集まることも多く、手を合わせやすい点もメリットです。

ただし、直射日光が当たる場所に置くのは避けてください。

位牌の日焼けや乾燥の原因となります。

リビングに置く場合は、冷暖房の風が直接当たってしまわないようにすることも大切です。

テレビ電子機器の上も、位牌にダメージを与えてしまうので避けましょう。

寝室

1日の始まりと終わりに手を合わせることができる寝室も、位牌の置き場所として適しています。

ただし、リビングと同様、冷暖房の風や電子機器に注意してください。

床の間

床の間は掛け軸や壺などを飾る場所ですが、位牌を置いても問題ありません。

一般に風通しも良く、直射日光に当たることが少ないのが床の間です。

一段高い場所でもあるので、故人やご先祖様を立てるという意味でも良いでしょう。

高さのある台などの上に置くのがおすすめです。

冷暖房の風には注意しましょう。

位牌を置くのに適さない場所

位牌を置くのに適さないのは次の2か所です。

  • 玄関
  • 水回りのある場所

玄関

家族以外の人の出入りも多く、ホコリが立ちやすい玄関は位牌の安置場所には適していません。

条件によっては直射日光も入りやすいなど、位牌にとっては不向きな場所です。

また玄関は、落ち着いて位牌に手を合わせられる場所とは言えません。

水回りのある場所

湿気に弱い位牌にとって、水回りの近くは安置場所として不適切です。

環境が悪いと、カビが生えてしまうことさえあります。

水回りは炊事や洗濯などをすることが多い場所なので、手を合わせて供養するにも不向きです。

最後に仏壇は誰が引き継ぐものなのか、一般的な見解をまとめておきます。

仏壇は誰が引き継ぐ?

今までの日本では、仏壇やお墓を引き継ぐのは「直系長男」というのが当たり前でした。

封建制度の時代、日本は遺産(主に土地)の分割・分散を防ぐため、その家の財産は全部長男が引き継ぐ風習がありました。

現代でいう相続権は、昔は長男以外全て無条件で放棄させられていたのです。

財産を全て引き継ぐ権利がある代わりに、一族を守る義務も引き継ぐべきだと考えられていました。

つまりお墓や仏壇も長男が守るべきものだったのです。

しかし、現代においては、長男がお墓や仏壇を引き継ぐ義務は、法律的には決められていません。

民法897条にも「仏壇や墓地は相続財産には含まれない」という記載がなされています。

そのかわりに「慣習に従って、祖先の祭祀(さいし)を主宰すべきものが(お墓や仏壇などを)引き継ぐ」とも書かれています。

ですが、あくまで「祭祀の主宰者」であり、「長男」とは書かれていません。

もし、遺言で仏壇の引き継ぎ先を故人から指定されていなければ、長男は他の兄弟、例えば次男や長女などと相談して、仏壇の引き取り先を話し合うこともできます。

話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所の審議にかけることもできるのです。

さらに、仏壇は親族のみが引き継ぎの対象だと思って(思わされて)いましたが、

1位:男子(長男・次男・三男)
2位:女子(長女・次女・三女)
3位:親族(おい・めい・いとこ)
4位:他人(故人の親友など)

といった優先順位はあるものの、友人など血縁関係がなくても、仏壇を引き継ぐことはできるようです。

まとめ

実家の空き家に残っている仏壇はどうすればよいかということについてまとめました。

下記の手順で進めていってください。

仏壇を供養する

仏壇の中身を分別する

実家の空き家に残っている位牌を自宅の仏壇に移す

残った仏壇・仏具を処分する

位牌は自宅で供養するようにしましょう。

この記事を書いた人

アーキ君
アーキ君
不動産のプロとして33年のキャリアを持ち、お客様に寄り添った最適なサービスをご提供することに情熱を注いでいます。アットホームな社風の中、有能なスタッフと共に日々研鑽に励み、お客様の人生に幸せをもたらすことが私の喜びです。