不動産売却後には、確定申告が必要になるケースがあります。サラリーマンなど確定申告には不慣れな方はとくに、うまく申告できるか不安もあるのではないでしょうか?
ただ実は、不動産を売却した全ての人が、確定申告しなければならないわけではありません。
本記事では、確定申告が必要のケース・不要のケースの見分け方と、申告する場合の必要書類について解説します。
目次
不動産売却で確定申告が必要・不要の見分け方
不動産売却で確定申告が必要なケースは、譲渡所得が出たときです。
譲渡所得が出たときは確定申告が必須
譲渡所得とは、簡単にいえば不動産を売却したことによる利益です。
ただし、『2,000万円で購入した不動産を3,000万円で売却したときの差額1,000万円』が譲渡所得になるわけではなく、次の計算式によって算出されます。
譲渡所得は、次の計算式で算出します。
譲渡所得 = 売却価格 -(取得費+譲渡費用)
「取得費」とは、不動産の購入金額と購入にかかった費用を足したものです。マンションや戸建てなどの建物部分は、経年劣化分を加味するため減価償却費相当額を差し引きます。
償却率(非業務用建物)
減価償却費 = 建物購入価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
購入にかかった費用・売却にかかった費用とは、仲介手数料や印紙税、売買に際しておこなった測量費用などが含まれます。
●減価償却費についてはこちらのサイトで簡単に計算ができます。
定額法による建物の減価償却費の計算・シミュレーション
●譲渡所得税についてはこちらで計算できます。
譲渡所得税の計算・シミュレーション
ややこしい計算式をもとに計算しなくても、簡単に結果が出ます。
譲渡所得がプラスにならなくても確定申告した方がいいケース
譲渡所得がでない場合には、確定申告は必須ではありません。しかし、譲渡所得がマイナスに転じたとき(=譲渡損失)にも、以下2つのケースにおいては、確定申告することで税金控除が受けられます。
- マイホームを買い替えたとき
- 住宅ローンが残っているマイホームを売却したとき
上記ケースで譲渡損失が出た場合には、確定申告によって「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を適用させることにより、給与などの所得から譲渡損失分が控除されます。
つまり、不動産売却で必ず確定申告しなければならないケースは、譲渡所得が出たときのみ。ただし、譲渡損失が発生したときの確定申告は義務ではないとはいえ、要件を満たした買い替えや売却では、確定申告することで控除が受けられるということです。
不動産売却の確定申告に必要な書類
確定申告は、原則、不動産を売却した翌年の2月16日~3月15日に管轄の税務署でおこないます。不動産を売却して譲渡所得がでた場合には、確定申告が「義務」ですので、遅れないようにしっかり準備しておきましょう。
ではここからは、不動産売却の確定申告に必要な書類を確認していきます。
不動産売買時の書類
✅購入・売却時の売買契約書の写し
✅購入・売却時の仲介手数料や印紙税の領収書の写し
✅購入・売却時の固定資産税清算書の写し
✅その他購入・売却でかかった諸費用の領収書等の写し
税務署や役場等で入手する書類
税務署で取得(国税庁HPでも取得できます)
✅確定申告書B要式
✅申告書第三表
✅譲渡所得の内訳書
法務局で取得
✅売却後の土地・建物の全部事項証明書
各種控除特例の適用を受けるために必要な書類
先述した繰越控除の特例以外にも、マイホーム売却時には、確定申告することで様々な控除特例が受けられます。特例ごとに、確定申告時に追加で必要となる書類は次の通りです。
※詳しくは各項目にリンクしている国税庁HPをご参照ください。
3,000万円特別控除については、「3,000万円特別控除を徹底解説!【適用要件】【住宅ローン控除併用の可否】【必要書類】」で詳しく解説しています。
まとめ
基本的に、不動産売却で確定申告が必要なのは譲渡所得が出たときです。しかし、譲渡損失が出た場合にも、マイホーム売却時には申告によって控除を受けられる可能性があります。
アーキ不動産では、「売って終わり」ではなく、ご売却後のご不安にも親身に対応させていただいております。必要に応じて、税理士を紹介させていただくことも可能です。大幅な節税にもつながる各種控除制度には、適用期限もありますので、不動産のご売却をお考えの方はどうぞお早めにお問合せください。