マンションや一戸建て、土地といった不動産の売買を行う際、不動産業者に仲介を依頼するのが一般的です。
しかし、一口に不動産業者といっても実績、信頼性、得意分野は様々です。また、担当してくれる営業マンにも差があります。納得のいく不動産売買をするためには、どのような基準で不動産業者・担当営業マンを選べばよいのでしょうか?
この記事では、不動産売買における不動産業者・担当営業マンの選び方のポイント、および合わなかった場合の断り方のポイントをご紹介していきます。
- 不動産取引の成否は不動産業者選び・担当営業マン選びにかかっている
- 不動産業者選び・担当営業マン選びのポイント
- <不動産売却・不動産購入共通>①業務歴の長い不動産業者
- <不動産売却・不動産購入共通>②サービスの充実した不動産業者
- <不動産売却・不動産購入共通>③評判のよい不動産業者
- <不動産売却・不動産購入共通>④頻繁に従業員募集をしていない不動産業者
- <不動産売却・不動産購入共通>⑤宅建士の資格を持っている営業マン
- <不動産売却・不動産購入共通>⑥売買動機を親身に聞いてくれる営業マン
- <不動産売却・不動産購入共通>⑦段取りのよい営業マン
- <不動産売却・不動産購入共通>⑧自分と相性のよい営業マン
- <不動産売却編>①インターネット広告を行っている不動産業者
- <不動産売却編>②顧客情報が豊富な不動産業者
- <不動産売却編>③競合をチェックしてくれる不動産業者
- <不動産購入編>①そのエリアに詳しい担当営業マン
- <不動産購入編>②アクセスのよい不動産業者
- <不動産購入編>③アフターフォローのある不動産業者
- 合わないと感じたときの断り方のポイント
- まとめ
不動産取引の成否は不動産業者選び・担当営業マン選びにかかっている
マンションや一戸建て、土地といった不動産の売買を行う際、欠かせない存在となるのが不動産業者。
もちろん、個人と個人で直接取引をしてもよいのですが、不動産売買は専門性が高く、取引価格も高いため(失敗したときのリスクがあまりに大きいため)、不動産業者に仲介を依頼するのが一般的です。
しかし、不動産業者も様々です。
「不動産業者はどこも同じでしょ」「どこに仲介を依頼してもさほど変わらないでしょ」なんて考えていると、取引に失敗してしまうかも。
不動産業者の中には、経験豊富なところもあれば、そうでないところもあります。良心的なところもあれば、そうでないところも。得意分野、サービス形態、取引に対する考え方なども、不動産業者によって大きく変わってきます。
これは担当してくれる営業マンにおいても、同じようなことが言えます。
不動産関連資格の有無、知識の量、コミュニケーション能力、仕事の進め方、フットワーク、親切さ…… 営業マンによって大きく変わってきます。
不動産売買の成否は、不動産業者選び、担当営業マン選びにかかっているといっても過言ではありません。
ここを安易に考えていると、数百万円レベルの損をしてしまう、取引が完了するまで無駄に時間がかかってしまう、余計なトラブル(契約前に話が流れる、裁判沙汰になるなど)が生じてしまう、といったことも起きてきます。
不動産売買に取り組もうとする際、不動産業者選び、担当営業マン選びは、慎重に行うようにしてください。時間や労力もかかりますが、それによって回避できるリスクや得られるメリットは大きいです。
※営業マンについては、自分で選ぶことができない場合もあります。
不動産業者選び・担当営業マン選びのポイント
それではここから、不動産業者選び、および担当営業マン選びのポイントをご紹介していきます。
なお、不動産売却と不動産購入で共通する部分と共通しない部分がありますので、<不動産売却・不動産購入共通編><不動産売却編><不動産購入編>と、3つに分けてご紹介していきます。
※営業マンについては自分で選ぶことができない場合もありますが、その場合でもお読みください。不動産取引を進めている最中、「営業マンを変えてもらった方がよいかな?」などと迷ってしまうことはよくあることです。そんなときの判断基準として参考になるはずです。
<不動産売却・不動産購入共通>①業務歴の長い不動産業者
不動産売買は、専門性の高い取引になります。
不動産業者と名乗っていても、業務歴があまりに短いところであれば、経験不足から大きな失敗をしてしまうこともあるかもしれません。
基本的には、業務歴の短い不動産業者よりも、業務歴の長い不動産業者の方が望ましいです。
10年、20年、30年と業務歴が長いのは、それだけ経験を積んできているということ、多くの取引を成功させてきたということの証明になります。
各不動産業者の業務歴は、 宅建業(宅地建物取引業)の免許番号で分かります。
宅建業の免許番号は、「〇〇〇知事(〇)第〇〇〇〇〇号」という形式になっており、カッコで囲まれた数字が免許の更新回数を表しています。
免許の更新は5年に1回(平成8年3月31日までは3年に1回)です。カッコで囲まれた数字が”1”であれば新規~5年未満、”2”であれば5年以上10年未満、”3”であれば10年以上15年未満、ということになります。
ただし、あくまで一つの指標として参考にしてください。必ずしも業務歴が長い方がよいというわけでもありません。あまり古くからある不動産業者だと、最新の法律やツールに疎い、古くからあるやり方にこだわっている、ということもあります。
<不動産売却・不動産購入共通>②サービスの充実した不動産業者
各不動産業者では、独自に下記のようなサービスを提供しています。
<不動産売却におけるサービスの例>
写真撮影の代行サービス
各広告媒体で使用する写真を、撮影(一般的にプロのカメラマンによる撮影)してくれるサービス。見栄えが良くなるため、集客力がアップする。
家財お預かりサービス
内覧期間中、家具や家電、衣類、書籍などの家財を一時的に預かってくれるサービス。スッキリと片付いたお部屋で内覧ができるようになる。
買取保証サービス
一定期間の間に売却できなかった場合に、物件を買い取ってくれるサービス。通常の手順で売却するよりも売却価格は下がるが、「買い手が見つからず引越しができない」などのリスクを避けることができる。
<不動産購入におけるサービスの例>
オンライン内覧サービス
本来現地で行う内覧を、自宅にいながら行うことができるサービス。自宅から遠いエリアで物件を探している場合や仕事などで忙しい場合に便利。
建物検査サービス
契約前に、欠陥や不具合などがないか、専門的な立場からチェックしてくれるサービス。安心して取引できるようになる。
車による送迎サービス
「自宅から不動産業者店舗まで」「自宅から内覧場所まで」など、移動の際に車を出してくれるサービス。移動コスト(交通費や体力など)を気にしなくて済むようになる。
ここにご紹介した以外にも、各不動産業者が便利なサービスや安心につながるサービスを提供しています。
不動産業者を選ぶ際、なるべくならサービスが充実している不動産業者がよいでしょう。もちろん、実際にサービスを受けるかどうかは自由です。その時その時の状況で判断してください。
<不動産売却・不動産購入共通>③評判のよい不動産業者
「どんな不動産業者なんだろう?」「どんな理念なんだろう?」「どんな雰囲気なんだろう?」 このように考えて気になる不動産業者のホームページを隅々まで閲覧してみることもあるでしょう。
もちろん、それ自体に問題はありません。しかし、不動産業者のホームページには、基本的によいことしか書かれていません。書かれている内容をそのまま鵜呑みにしないよう気を付けてください。
適宜、不動産業者系の口コミサイトも参考にしましょう。
口コミサイトとは、その企業・店舗の商品やサービスを利用したことのある人が、自由に感想や体験談などを書き込めるサイトのことです。
もちろん口コミサイトがすべて信頼できるわけではありません。某大手飲食系口コミサイトで嫌がらせのやらせ口コミがされていることが発覚し、マスコミにも取り上げられたことがあります。
また同じ対応をしても人によって感じ方は違うため、ネガティブな口コミを投稿することもあるでしょう。
口コミサイトの正しい見方は、消費者の意見だけでなく、ネガティブな意見に対して、不動産業者側がどのような返答をしているのかまで確認することです。
ネガティブな意見をゼロにするのは不可能ですから、ネガティブな意見に対して真摯に対応しているかどうもチェックポイントです。
また、口コミサイトに加えて、ブログやSNSなども参考になります。
気になっている不動産業者の名前で検索してみると、その不動産業者に関するつぶやきや日記などが出てきます。
ブログやSNSは気軽に使うことができるため、口コミサイトよりも生の声に近い情報を得ることができるでしょう。
<不動産売却・不動産購入共通>④頻繁に従業員募集をしていない不動産業者
求人サイトや折り込み求人広告、店舗の張り紙、ホームページなどで、頻繁に従業員募集をしている不動産業社には注意してください。
頻繁に従業員募集をしているところは、何らかの事情により人の出入りが激しいということ。
うまく引継ぎができておらず対応に遅れが出やすい、人手が不足していて対応に遅れが出やすい、人間関係の雰囲気が悪くて不快な思いをしやすい、といった傾向があります。
<不動産売却・不動産購入共通>⑤宅建士の資格を持っている営業マン
不動産売買の取引を進めていくためには、専門知識が欠かせません。しかし、あまり関心できるものではないのですが、不動産業界には、専門知識があやふやなまま営業マンをしている方もいます。
担当営業マンは、宅建士(宅地建物取引士)の資格を持っている方がよいです。宅建士の資格を持っていれば、不動産取引の専門家として一定以上の知識を持っていることの証明になります。
<不動産売却・不動産購入共通>⑥売買動機を親身に聞いてくれる営業マン
担当営業マンは、こちらの売買動機を丁寧に聞いてくれる方がよいです。
なぜ買うのか?なぜ売るのか?
ここをしっかり聞いてくれる営業マンであれば、あなたが望む以上の解決策を提示してくれるかもしれません。
あなたの希望を聞いて、それを反映してくれるレベルの営業マンはいるでしょう。
しかし、希望を聞くだけではなく、あなたの今後のライフプランを見据えて、適切なアドバイスをしてくれるレベルの営業マンに出会うことができれば、その不動産取引は成功したも同然です。
営業マンのレベルは同じ看板を掲げた不動産業者の中でも大きく違います。
営業マンの中には、こちらの希望を聞かずに、自分の都合ばかりを優先する人もいます。
たとえば、自分にとって報酬の高い方法を選ぼうとしたり、自分のノルマのために決断を急がせようとしたり。当然、そういった担当営業マンでは、納得のいく不動産取引はできません。
担当営業マンは、こちらの売買動機を丁寧に聞いてくれて、その上でこちらが気づいていないようなニーズを引き出してくれたり、希望を期待以上に応えてくれたりする方が理想です。
<不動産売却・不動産購入共通>⑦段取りのよい営業マン
不動産取引では、「転勤の都合で〇〇日前までに引き渡しまで完了させたい」「資金繰りの関係で〇〇月〇〇日までに〇〇金を入金してほしい」など、タイムリミットがあることもあります。
ですので、営業マンは、段取りのよくテキパキと仕事をこなす方がよいです。役場で取得する必要のある書類などを「明日までにご用意してください」などという営業マンはNGです。
<不動産売却・不動産購入共通>⑧自分と相性のよい営業マン
不動産業者の担当営業マンとは、取引が終わるまで、何度もコミュニケーションをとることになります。不明点を質問する、アドバイスを受ける、内覧などのスケジュール調整をする、相手との間に立って細かい条件の交渉をするなどなど。
担当営業マンをみるとき、知識や能力なども大事ですが、相性もまた大事です。あまりに相性が悪いと、勘違いやすれ違いからトラブルが起こりやすくなります。担当営業マンは、性格的に合う方、親しみを感じられる方、会話をしていてストレスがない方が望ましいでしょう。
<不動産売却編>①インターネット広告を行っている不動産業者
不動産売却では、買い手を探すために広告を出すことになりますが、その手法は不動産業者によって様々です。チラシ、フリーペーパー、不動産情報サイト、自社ホームページ、現地看板などなど。
基本的には、様々な広告手法に対応できる不動産業者がよいです。また、今は8割強の方がインターネットで物件を探す時代ですので、なるべくならインターネット広告に強い不動産業者がよいです。
<不動産売却編>②顧客情報が豊富な不動産業者
前項で、「不動産売却では、買い手を探すために広告を出すことになる」とお伝えしましたが、不動産業者の方で既に顧客情報を持っている場合もあります。
たとえば、
・不動産業者に「こういう物件があれば連絡をください」と伝えている方の情報
・直近でそのエリアで物件の内覧をしていた方の情報(結果的に成約まで至らなかったがその後も探し続けている方の情報)
など
不動産売却をする際は、既にたくさんの顧客情報を持っている不動産業者がよいです。あなたの物件に興味を持ってくれそうな人を見つけやすくなります。
<不動産売却編>③競合をチェックしてくれる不動産業者
不動産売却をする際、近場に自分の物件と類似する物件が売り出されていると、つまり競合がいると、顧客に認知されにくくなったり、値下げ競争をさせられたりします。
不動産売却をする際は、競合をチェックしてくれる不動産業者が望ましいです。自分でも競合のチェックはできますが、専門知識や情報網のある不動産業者に対応してもらえるなら、そちらの方がずっとよいでしょう。
<不動産購入編>①そのエリアに詳しい担当営業マン
不動産購入に取り組む際、「通勤を考えてこのエリアで物件を探す」「昔から憧れていたこのエリアで物件を探す」など、希望するエリアが決まっている場合もあるかと思います。その場合、そのエリアに詳しい営業マンに担当してもらうとよいでしょう。
不動産購入では、物件も大事ですが、周辺環境も大事です。そのエリアに詳しい営業マンであれば、「どこどこのスーパーが安い」「どこどこの定食屋が美味しい」「ここから〇〇に行くなら電車よりバスが早い」などなど、色々と役立つ情報を教えてもらうことができます。
<不動産購入編>②アクセスのよい不動産業者
不動産購入に取り組む際、物件探し、物件説明、内覧、条件交渉、契約などで、不動産業者の店舗に何度も足を運ぶようになるケースもあります。
この際、普段慣れないことをするため、「思っていた以上に疲れる」という方もいます。
必須条件とまではいきませんが、なるべくなら体力面を考慮して、自宅から通いやすいところ、駅から近いところがよいでしょう。
<不動産購入編>③アフターフォローのある不動産業者
「不動産購入後、実際に住んでみたら欠陥や不具合がいくつも見つかった」 不動産取引では、このような例が少なくありません。
これを考慮し、不動産業者は、アフターフォローまでしっかり対応してくれるところが望ましいです。「定期的に点検をしてくれる」「欠陥や不具合を見つけた際に無料で修理してくれる」など。
なお、非常に残念なことですが、アフターフォローのない不動産業者の中には、「契約前に物件の欠陥や不具合を調べない」「欠陥や不具合を把握していてもそれを隠す」といったことをするところもあります。不動産は高い買い物になりますので、この点には十分に注意してください。
合わないと感じたときの断り方のポイント
これまで、不動産売買における不動産業者・担当営業マンの選び方のポイントをご紹介してきました。ぜひ参考にしてください。
しかし、ポイントを踏まえながら選んだとしても、取引を進めていく中で、「思っていたのとちょっと違うかな… 営業マンさんもしくは業者さんを変えよう」といった結論に至ることもあるかもしれません。
ここでは、不動産業者・担当営業マンを変えようとする際のポイントをご紹介していきます。
まず、担当営業マンを変えて欲しい場合は、その営業マンの上司、店長などに掛け合いましょう。「担当者を変えてほしい」という旨をそのまま伝えてください。勇気がいることだとは思いますが、下手な取引をして後悔してしまうよりはよいでしょう。
ただし、本当に担当者を変えてくれるかどうかは分かりません。小さい不動産業者であれば「他に営業マンがいないので、そのまま」ということもあるでしょう。また、変えてくれるor変えてくれない、いずれにおいても、相手に知られて気まずくなってしまうこともあります。これらの点には十分に留意してください。
不動産業者自体を変える場合は、担当営業マンにその旨を伝えてください。
これについても、勇気がいるかもしれません。時間をかけてくれた場合、親身になってくれた場合、難しい交渉を引き受けてくれた場合などは特にそうでしょう。
しかし、不動産業者も断られることに慣れています。また、多くの不動産業者が、「見込みのないお客さんよりも、見込みのあるお客さんに時間を費やしたい」と考えています。
もちろん簡単に断りを入れるべきではないですが、じっくりと考えた上で、「どうしても断りたい」ということであれば、その旨をしっかりと伝えるようにしましょう。
そして、その際の連絡はなるべく早めに行うようにしてください。
不動産業者の方では、資料の準備、スケジュール調整、車や鍵の手配など、自分たちにかかわる作業を進めてくれているかもしれません。
連絡が遅くなればなるほど、無駄に労力をかけさせてしまうことになります。負担を少しでも減らすため、早め早めの連絡を心がけるようにしてください。
まとめ
不動産売買における不動産業者・担当営業マンの選び方のポイント、および合わなかった場合の断り方のポイントをご紹介してきました。
不動産売買は、人生でそう何度も経験することではありません。ほとんどの方にとって、人生ではじめての経験となるのではないでしょうか。
人生ではじめての経験の場合、どのようなポイントで不動産業者・営業マンを選べばよいのか分かりませんよね。しかし、「なんとなくで選んだ結果、取引に失敗してしまった」という事例も少なくありません。
自分にあった不動産業者・担当営業マン選びには、時間や労力もかかりますが、それで得られるメリットは大きいです。
本記事でご紹介した内容が、不動産売買成功のための一助となれば幸いです。
この記事を書いた人
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