不動産一括査定のメリットとデメリット

手間が省けるうえに、高値で売れる可能性も!?

不動産一括査定というのは、10年位前から出てきたサービスです。「あなたがお持ちの物件がいくらで売却可能なのか」ということを、インターネット上の専門サイトに登録するだけで、いろいろな不動産会社が同時に見積額を提示してくれるというものです。

もちろん私たち不動産会社側も、その専門サイトに登録しています。そして、売却を希望しているお客さんの情報をいただくとき、つまり、サイトを見て一括査定を依頼したお客さんとつないでもらう対価として、一定の金額を支払います。

一括査定のサイトを運営している会社は、登録してもらうだけで売り上げが伸びますので、似たようなサイトが入れ替わり立ち代わり、たくさん出てきていますね。私の会社も4~5サイト登録していますよ。

売主さんが一括査定を利用するメリットは、まず第一に、自分で不動産会社を探す手間が省けるという点です。ある1つのサイトに登録するだけで、依頼可能な不動産会社が、すぐに数社みつかります。平均で3~5社、多いときには7社以上が査定金額を提示してくれます。

そして、第二のメリットは、そこには競争原理が働くということです。「A社で見てもらったら2千万円だったけれど、B社が2千5百万円で売ってくれました。その差はなんと5百万円!」といったような謳い文句で集客しているのを見かけます。

ですから、場合によっては、思ったよりも高値で売れる可能性もあります。うまく活用すれば、なかなか便利なサービスだと思いますね。

根拠のない売値の設定に要注意!

「家を売却したい」と思ってネット検索をすると、すぐに一括査定のポータルサイトがずらっと出てきます。どのサイトも、「簡単・安心」といった宣伝文句と見やすいデザインで、思わずクリックしたくなるように上手に作ってあります。

ただ、気をつけなくてはいけないのは、最初に提示された金額が、実際の売却金額とは違っているケースがあるということですね。

当たり前ですが、それらのサイトに登録している不動産会社は、仕事を求めているわけです。「家を売りたい」という情報は、彼らにとって、大事なビジネスチャンスなのです。

一般に不動産会社の仕事は、「家を売ること」がメインだと思っている方が多いのですが、実は我々の方からすれば、買主さんより、売主さんの方が大切なんですね。

広告にたくさん物件を掲載できるのは、売却依頼を受けているからです。売主さんに物件を預けていただければ、こちらは適切な価格設定と宣伝をするだけ。そうすれば、買主さんは勝手についてくるものです。

ですから不動産会社からすれば、「売主さんからの依頼を受けたい」という気持ちはとても強く、そして依頼を受けるために手っ取り早いのは、「高値をつけること」となります。

売主さんだって、高い金額で売ってくれるのであれば、その会社へ依頼したくなるじゃないですか。その際のデメリットは、市場に見合わない、“不動産会社の都合で高く釣り上げられた金額”で売りに出されてしまう可能性があるということです。

それをしてしまうと、売却まで余分な時間がかかりますし、悪質な業者になると、もともと2千万円のものを、2千5百万だと査定して媒介契約を結び、「売れないから2千万円にしましょう」と結局下げてきたりします。

一括査定を頼んだ際に、やけに高い売値を提示してくる会社があったら、ぜひその根拠を聞いてみるようにしてください。これといった根拠もなく、高値を提示してくる会社を選んではいけません。

車の一括査定の場合、中古車販売会社が買い取ってくれるわけですから、提示された金額そのままが、あなたの懐に入ります。でも不動産の場合、査定価格というのは、「この金額で売り出しましょう」というものであって、その不動産会社が買い取ってくれるわけではないことを覚えておいた方が良いでしょう。

アーキ不動産へのご相談はこちら

この記事を書いた人

archi
archiアーキ君