空き家とは、辞書的な定義でいうと、「人の住んでいない家」ということなります。

当たり前すぎますね・・・

デジタル大辞泉の解説によると

1 人の住んでいない家。あきいえ。
2 俗に、女性が恋人や夫と別れて独り身であることをいう。

(引用:デジタル大辞泉


このようになっています。

人の住んでいない家が「空き家」なのは当たり前ですが、空き家には「二次的住宅」「賃貸用」「売却用」「その他」の4種類がありますが、昨今、問題になっているのが「その他」に属する空き家です。

この記事では、問題となっている「その他」空き家・特定空き家の定義を国土交通省の資料をもとにわかりやすく解説します。

空家の定義は「空き家対策特別措置法」に記載

空き家・特定空き家の定義は平成26年11月27日に公布された「空家等対策の推進に関する特別措置法」に記載があります。

「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。(2 条 1 項)

(引用:空き家対策特別措置法)

これでは辞書的な定義とそれほど変わらないので、空き家と定義される条件を解説します。

1年利用なしが前提

国土交通省は、空き家を概ね1年以上利用の実態がない住宅と定義しています。

では、1年間利用がないとはどういう状態かというと

1年間、人の出入りがない

ということです。

しかし、「1年間、人の出入りがない」というのは、確認しづらい事項です。

ずっと見張っているわけにはいきませんからね。

実質的には「電気・ガス・水道が1年間使用されていない」と空き家と判断される可能性が高いです。

したがって、次のような状況では空き家とはなりません。

●人が住まなくなってから10年が経過していているが、毎年年末に掃除をしている
●10ヵ月前に住民が引っ越して、誰も使用していない部屋

集合住宅の場合の空き家とは?

ここまで見てきたのは、一戸建てについての空き家の定義です。

集合住宅(マンション・アパート)の場合は、空き家の定義が異なります。

全戸が空室にならないと空き家とはなりません。

10戸あって、そのうち9戸に誰も住んでいなくても、残りの1戸に人が住んでいれば、その集合住宅は空き家とはなりません。

建物が老朽化して、一戸建てであれば、特定空家に認定されるような建物であっても、空き家対策特措法では「空き家」とはみなされません。

集合住宅の老朽化という問題はここでは触れませんが、空き家問題以上に今後大きな問題になるかもしれません。

さて、法律を作ってまで空き家対策をしようとしているのはなぜでしょうか?

それは、空き家を放置しておくと、財政が破綻して国民生活に大きな影響が出かねないからです。

空き家問題の原因と対策については、次の記事で詳しく解説しています。

特定空家の定義

空き家を放置すると、防災面、景観面、衛生面、治安面などで大きな問題となり、周辺住民に多大な迷惑をかけることになります。

それを防ぐための対策の指針として「空き家対策特別措置法」が制定されています。

そして空き家の中でも、最も警戒されているのが「特定空家」です。

「特定空家等」とは、
① 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
② 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③ 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
④ その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
にある空家等をいう。(2 条 2 項)

(引用:空き家対策特別措置法)

特定空き家に指定されると、固定資産税が6倍になるなどのペナルティがあります。

そのようなペナルティを課すことで、空き家問題を解消しようとしているわけですが、本当に効果はあるのでしょうか?

「空き家対策特別措置法」を推進することで、日本の空き家問題は解決できるのでしょうか?

実は、難しい、というか、この法律だけでは日本の空き家問題を解決することはほぼ不可能ではないかと感じています。

今の状況では空き家は増える一方でしょう。

なぜか?

興味のある方は、こちらの記事をご覧ください。

そして、空き家問題を解決するには、行政と民間が連携して空き家を活用していかなければなりません。

まとめ

空き家の定義は、実質的に1年間、人の出入りがない家屋およびその敷地のことです。

その判断には、電気・ガス・水道というライフラインが使用されているかどうかが使われる可能性が高いです。

空き家問題は今後ますます大きな問題となっていくでしょう。

解決のためには、行政と民間の連携による空き家活用が重要です。