ご相談者  30代後半のご夫婦 子どもが2人(小学5~6年生・中学1~2年生)
物件   コンパクトシティーの範囲内と郊外のちょうど間にある一軒家←広さについてはお伺いしていませんでした!)

家を建てて2年で転勤に!

転勤というのは、突然起こる事態ですよね。「自宅を売却したい」というご相談でいらした30代前半のご夫婦も、「上のお子さんが中学校に進学するタイミングで家を建てたけれども、急遽、転勤が決まってしまった」ということでした。

ご自宅を新築されてからまだ2年しか経っておらず、家を建てた当時は、「もし転勤が決まったら、奥さんは子どもさんと一緒に岡山に残って、旦那さんには単身赴任をしてもらおう」という話になっていたようですが、実際に転勤が決まってからはお考えが変わったそうです。

と申しますのも、今回の転勤は、ご主人にとっては大変喜ばしい栄転で、仕事人生の中でも特に大事な場面となるため、やはり家族の支えがあった方が良いと判断されたということでした。たしか支店長候補として次の店舗に移られることになったとおっしゃっていましたね。

二人のお子さんも、まだ、上が中学生で下が小学生なので、今であればギリギリ転校してもやっていけそうだというお話でした。そして転勤先では、とりあえず会社の借り上げ社宅にお住まいになるということでした。

「売却する」以外の選択肢もご提案

もともと「売却したい」ということでご相談に見えたわけですが、私はそのご夫婦に対して、2通りの提案をさせていただきました。

1つめはもちろん、ご希望通りに売却の手続きをすること。もう1つはご自宅を売却せずに賃貸にして、その家賃で毎月のローンを支払い、さらにプラスで収入を得るという方法です。築浅で比較的便利なエリアにあるお宅だったので、人に貸したら、家賃をローン返済に充てても、月々2万円ほど手元に残るような計算でした。

そこで、「売却せずに保有したままにすれば、ローン完済後、今のご自宅が将来の私的年金になりますよ」とお話しました。皆さんそうですが、定年後の生活を考えると、年金だけでは不安だということがあり、今ちょっとした投資ブームなんです。アパートを買いたいというサラリーマンの方も多いんですよ。

ここでちょっと複雑なのは、転勤直後はとりあえず社宅へ入るけれども、次の住まいをどこかで手に入れるとしたら、また住宅ローンを組まなくてはいけないという点です。

そこで実際に計算をしてみたところ、その方の年収からいくと、あと5年ぐらいしたら、次の家のローンを新たに組むことができるとわかりました。ダブルローンになってしまっても、岡山の方は家賃で返済し、新たな家のローン返済だけをすれば良いわけですから、十分可能なんです。

でも、結論から申しますと、最終的には売却するという選択をされました。ただ、かなり迷われた末の決断でしたね。

理由としては、家を賃貸に出すということは不動産賃貸業をやることになりますから、確定申告が必要になってしまうこと。もうひとつは、サラリーマンとしての年収に家賃収入が足されると、合計の所得が増えるため、一番高い税率が適用されるようになってしまうという点です。

まあ、税金が増えても、その分収入があるわけですから、私はそれでも良いと思うのですが、ただ空き家リスクもあります。もし借り手が見つからなかったらお金が入ってこなくなりますよね。また、今の家賃だと十分成り立つ計算でも、何年か経ったら家賃を下げなくてはいけなくなったり、修繕責任が発生したり、といった懸念もあります。

もちろん、そういったこともすべて、「まとめて面倒見ますよ」と申し上げたんですが、やはり売るということになりました。これがマンションだったら、「売らずに持っていた方が得策ですよ」ともっと積極的におすすめしたと思うのですが、戸建ての場合は将来のリスクもありますので、私の考えも正直、五分五分でしたね。

ベストなタイミングで無事売却

売却すると決まれば、できるだけ良い条件で売りたいので、最大限高く売れるような工夫をしました。売るための工夫というのは、その建物の「良いところをちゃんと告知する」ということと、「お得な物件である」ということをわかってもらうことです。

例えば、3千万円の家を建てて翌月売ったら、それだけで10~15パーセント安くなってしまいます。新築プレミアといって、「新築かどうか」によって、物件の金額はかなり変わってくるのです。

ということは、買う方にとっては、それがメリットになりますよね。デザインや間取りに強いこだわりのある方には向かないと思いますが、利便性や経済的なメリットを重視する方にとっては、「しっかりとした良い家を安く手に入れることができる」というわけです。

家を探していらっしゃる方の7~8割は、そういう価値観をお持ちです。今回のお宅も、2年住んだだけで、四百万円位お安くなるわけですから、「新車が1台ついてくるようなものですよ」という売り方をしました。

そうしたら、転勤する寸前に無事売れましたね。まだこちらに住んでいらっしゃるうちに契約をして、引っ越されたあとにご入金という流れになりました。まあ、もともと良いお家だったのですが、あまり時間がない状況の中、ベストなタイミングで売れて本当に良かったと思っています。

この記事を書いた人

archi
archiアーキ君