ボタンを押す、カードをかざす、スマホから操作する、暗証番号を入力する…… こういった方法でドアの開閉を行うことができるのがスマートキーです。

その利便性の高さから、「うちも自宅の玄関に取り付けようかな」と検討している方もいらっしゃることと思います。

自分で簡単に後付けできるスマートキーもあれば、専門業者に工事を依頼する必要のあるスマートキーまでさまざまあります。

工事不要のスマートキーの場合、後付けできないドアもありますので注意が必要です。

まずは、ご自宅の玄関にスマートキーが後付けできるかどうか、この記事でチェックしてください。

そして、ここでは、スマートキーの仕組み、メリット・デメリット、製品の選び方などをご紹介していきます。

「スマートキーは従来の鍵とどう違うのだろう?」「どんなタイプのスマートキーを選べばよいのだろう?」といった疑問を持たれている方、ぜひ参考にしてください。

目次

スマートキーとは?

スマートキーとは、電気の力を利用して鍵の施錠・解錠を行うことができるシステムのことです。「スマートロック」「電子キー」「電子錠」などと呼ばれることもあります。

スマートキーは、「ただボタンを押すだけ」「ただカードをかざすだけ」「ただ近づくだけ」など、操作がとても簡単です。

「ドアの開閉状況をリアルタイムで通知」「お客様用に一時的な鍵を発行」など、便利な機能がついているものもあります。鍵穴に鍵を差し込むことがないので、「ガチャガチャ」といった音が出ることもありません。

日本国内では、「LIXIL」「YKK AP」「三協アルミ」などがスマートキー製品を製造しており、ホームセンターや家電量販店、Amazonなどの通販サイトで販売されています。

なお、スマートキーが普及する前に使われていた鍵は、一般的に「物理鍵」「従来鍵」などと呼ばれています。※本記事では「物理鍵」とします。

スマートキーには、電池を使う「電池式」と、家庭用電源を使う「電気式」があります。

電池式の特徴:
・配線工事が不要
・電池交換(1年に1回程度)が必要
・停電時でも使える

電気式の特徴:
・配線工事が必要となるケースがある
・電池交換が不要
・停電時に使えなくなる(非常用の物理鍵が使える製品もある)
※「電気式」は「AC100V式」と呼ばれることもある

スマートキーの取り付け方は、工具不要で両面テープで貼るだけで済むものもあれば、ドアに穴をあける必要のあるものまで様々です。

取り付けが難しい場合は、専門業者に依頼することになります。中には、専門業者による取り付けでないと保証の対象外になってしまう製品もあります。

スマートキーが後付けできないドアの種類

まずはご自宅の玄関のドアがスマートキーを後付けできるタイプかどうか確認しましょう。

スマートキーを取り付けようと思っても、スマートキーを後付けできない場合があります。

それは次のようなタイプのドアです。

・取り付けるスペースがない

・ドアノブが握るタイプのドア

・特殊なサムターンを使用したドア

・引き戸

※引き戸は後付けできるスマートキーも一部あります

後付けできるスマートキーの多くはサムターンを自動で回すタイプのものです。

※サムターンは鍵をかけるときに「カチャ」っとまわす部分のことです。

したがって、上記のようなタイプのドアだと、工事なしで後付けは難しいです。

スマートキーを購入する場合は、必ず自宅のドアに取り付けられるタイプかどうかを確認してからにしましょう。

スマートキーの取り付け方

スマートキーの取り付け方は工事が必要なものから、両面テープで簡単に設置できるものまでさまざまです。

ここでは、後付けスマートキーの中でも簡単に取り付けできると人気のQrio Smart Lockを例に、取り付け方を見てみましょう。

スマートキーがどのように取り付けられるのかを簡単にでも理解しておくと、最適なスマートキー選びに役立ちます。

通り、サムターンを挟み込むように設置し、自動でサムターンを回すようにしているわけです。

スマートキーの基本的な仕組みはわかったと思いますので、ここからスマートキーのメリット・デメリットをみていきましょう。

スマートキーのメリット・デメリット

電気の力を利用して鍵の施錠・解錠を行うことができるスマートキー。どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。詳しくみていきましょう。

スマートキーのメリット

まずは、スマートキーのメリットからご紹介していきます。

【メリット1:操作がスムーズ】

スマートキーは、”鍵穴に鍵を差し込んで、鍵を回して、鍵を抜いて”といった動作が必要ありません。「ただボタンを押すだけ」「ただカードをかざすだけ」など、操作がとてもスムーズです。

そのため、「忘れ物を取りに行く」「帰ってすぐトイレに行きたい」など急いでいるときや、「荷物が多い」「子どもを抱っこしている」など手がふさがっているときなどに便利です。

周囲が暗いときや寒さで手がかじかんでいるなども、一瞬で操作ができるため、ストレスがありません。

【メリット2:オートロック】

たいていのスマートキーには、オートロックが標準で装備されています。

オートロックとは、ドアを閉めた後に自動で鍵がロックされる仕組みのことです。

オートロックは、外出する度に鍵を閉める必要がなく、「あれ、玄関の鍵は閉めたっけ? 戻った方がよいかな?」などといった心配をすることがありません。

なお、世間には、「ゴミ出しや回覧板回しなど短時間の外出にはロックをしたくない」といった声があるため、オートロックを一時的に停止する機能がついている製品もあります。

【メリット3:紛失時に困らない】

スマートキーは、紛失しても大きな問題になりません。IDやパスワードなどがあれば、簡単なデジタル操作で、紛失した鍵を無効化することができます。悪意を持つ人に悪用されてしまうことがなく、安心して使うことができます。

泥酔して家の鍵をなくしてしまったことがある!なんて経験のある人は、鍵を持ち歩く必要がないので、スマートキーはおすすめです。

【メリット4:防犯性が向上する】

スマートキーの中には鍵穴がないタイプのものがあります。

鍵穴がなければ、ピッキングされるリスクはありません。

無理矢理に怖そうとすると、サムターンがロックされて回らなくなるタイプもあります。

このようなタイプのスマートキーを取り付ければ、防犯性は向上します。

ただし、両面テープで取り付けるタイプなど、既存の鍵をそのまま利用する場合は、ピッキングされるリスクはそのままです。

スマートキーのデメリット

メリットがあれば、必ずデメリットもあるものです。スマートキーのデメリットも確認しておきましょう。

【デメリット1:初期費用がかかる】

スマートキーは、初期費用(製品本体費用と設置工事費用)として、一般的に数万円から十数万円程度のお金がかかります。

【デメリット2:電気エネルギーがないと使えなくなる】

スマートキーは、電気の力を利用して動くものです。電池式の場合は電池切れになると使えなくなり、電気式の場合は停電すると使えなくなります。

※非常時のことを考えて、電気エネルギーなしでも使える物理鍵がついている製品もあります。

【デメリット3:故障するリスクがある】

スマートキーは電子機器であるため、故障してしまうことがあります。たとえば、センサーが検知しなくなる、通電しなくなる、鍵データが破損するなど。こういったセキュリティ関連の製品は、故障がないよう気を付けて設計してありますが、電子機器である以上、全くないとは言えません。

【デメリット4:閉め出し事故が起こるリスクがある】

オートロック機能がついているスマートキーの場合、閉め出されてしまうことがあります。スマートキーの鍵を室内においたまま外に出てしまうと、ロックされて中に入れなくなってしまうのです。

これは、ご近所の方と玄関先で会話をしているときや、帰宅後に忘れ物を外にとりに行くときなどに起こりやすい事故です。

閉め出されてしまったときは、中にいる人に開けてもらう、家族の帰宅を待つ、メーカーに問い合わせる、破壊する(もちろんこれは最終手段)、といった方法をとることになります。

なお、逆に閉じ込められてしまうようなことは基本的にありません。中から操作できるようになっている製品がほとんどです。

スマートキーの種類

一口にスマートキーと言っても、様々な種類があります。ここで代表的なものを6つご紹介します。

【タイプ1:リモコンキータイプ】

鍵(リモコンキー)を持っていれば、ドアについているボタンを押すだけでドアの施錠・解錠ができるタイプのスマートキーです。鍵にあるボタンを押すことで施錠・解錠するタイプや鍵を持って近づくだけで施錠・解錠するタイプなどもあります。

先ほど例にあげた「Qrio Lock (キュリオロック)」はリモコンタイプです。

【タイプ2:カードキータイプ】

ただかざすだけ施錠・解錠ができるタイプのスマートキーです。財布やバックなどに入れたままで動作するものもあります。

【タイプ3:シールキータイプ】

カードキータイプと同様、ただかざすだけで施錠・解錠ができるタイプのスマートキーです。カードキーは単体で使用しますが、シールキーは財布、スマホ、車の鍵などに貼りつけて使用します。

【タイプ4:スマホアプリタイプ】

自分のスマホに専用のアプリをダウンロードし、そのアプリから施錠・解錠するタイプのスマートキーです。

次のような便利な機能がついている製品もあります。

・開閉状況をリアルタイムで通知
・開閉履歴の記録
・お客様用の一時的な鍵(「ワンタイムキー」「ゲストキー」などと呼ばれる)の発行
・外出先あるいは自宅の中から遠隔操作

【タイプ5:暗証番号タイプ】

あらかじめ設定した暗証番号を入力することで施錠・解錠ができるタイプのスマートキーです。一回限りの暗証番号を設定できる製品もあります。

【タイプ6:生体認証タイプ】

あらかじめ設定した顔や指紋、静脈などの生体情報で施錠・解錠ができるタイプのスマートキーです。

6つのタイプを紹介しましたが、実際の製品は、複数のタイプが混合されたものが多いです。暗証番号でもスマホでも指紋でも開錠できるというタイプです。

スマートキーの選び方

このように、メリットとデメリットが存在するスマートキー。デメリットよりもメリットの方を強く感じるなら、スマートキーを取り付けを検討してもよいでしょう。

ここでは、スマートキー製品の選び方をご紹介します。なお、実際に製品を購入する際には、通販サイトなどにあるレビューも参考にしてください。

【選び方1:取り付けの可否】

まず、その製品が自宅のドアに取り付けできるものなのかどうか、しっかりと確認する必要があります。どんなに便利で役立つものであっても、そもそも取り付けができなくては意味がありません。事前に自宅ドアの寸法やドアノブの種類などを確認しておいてください。

【選び方2:取り付けの方法】

スマートキーによって取り付け方は変わってきます。

両面テープで貼るだけでよいものもあれば、ドアを加工する必要のあるものがあります。道具の面で言えば、ドライバー1本で済むものもあれば、穴あけ工具が必要となるものもあります。

賃貸の場合は、加工不要ですぐに取り外せるものがよいでしょう。当然のことですが、取り付ける際には、事前に大家さんの許可をとるようにしてください。

【選び方3:操作方法】

スマホで操作する、カードで操作する、暗証番号で操作する…… スマートキーは製品によって様々な操作方法があります。ご自身やご家族に適した操作方法の製品を選ぶようにしてください。

たとえば、子どもの安全や空き巣被害が気になる場合は、開閉状況を通知・記録してくれるタイプが適しています。電子機器に苦手意識を持っている人がいる場合は、カードキータイプが適しています。鍵を紛失してしまうことが多い場合は、暗証番号タイプや生体認証タイプなどが適しています。

【選び方4:耐久性】

残念ながら、悪意を持った人の中には、スマートキーシステムを破壊しようとする人もいます。「小さな子どもがいる」「高価な家財がある」といった場合は、耐久性の強い製品がよいでしょう。

【選び方5:デザイン性】

玄関ドアは、「家の顔」と言われることもあります。デザインやコンパクトさも考慮できるとよいでしょう。

【選び方6:サポート体制】

こちらの質問に丁寧に答えてくれるところや、故障や閉め出しなど急なトラブルに駆けつけてくれるところだと安心です。24時間365日でサポートしてくれるところもあります。

もちろん、サポートには料金がかかりますので、自分で対応できそうなのであれば、サポートなしでもよいでしょう。

おすすめスマートキー5選

最後におすすめのスマートキーを5つ紹介します。

ランキングというわけではなく、防犯性に優れたもの、取り付けが簡単なもの、などいくつかのタイプをご紹介します。

手軽に取り付けタイプ

まずは手軽に取り付けることのできるスマートキーを3つ紹介します。

●Qrio smart Lock

(出典:Amazon)

両面テープを使ってドアに貼り付けるだけで簡単に設置できます。

専用のアプリで操作します。

しかも、URLを送るだけで簡単に鍵のシェアができ、削除も簡単。

合鍵渡したけど、失敗した~っていうときも簡単に削除できます。

既存の鍵を残しつつ、手軽にスマートキーの後付けを行いたい方におすすめです。

両面テープで取り付けるので、賃貸住宅でも問題なく取り付けられます。

もちろん、取り付け時は大家さんか管理会社に伝えてくださいね。

●ニンジャロック(NinjaLock) NinjaLock2

(出典:Amazon)

さまざまなサイズのサムターンに対応しているので、多くのドアに取り付けることができます。

専用アプリは、シンプルな画面で非常に使いやすくなっています。

鍵情報を家族や友人と共有することもできます。今日だけなど、一時的に鍵の操作権限を与えることもできたりします。

本体内には、24時間の時計機能が内蔵されているので、帰宅の時間に合わせて鍵を開けたり、出発時刻とともに鍵を自動で閉めたりすることもできます。

自動や手動での開閉は、すべて履歴に残ります。

●エピック(EPIC) 電子錠 ES-F300D

(出典:Amazon)

スマホアプリ・ICカード・暗証番号・指紋とさまざまな方法で解錠できるスマートロックです。

Bluetoothを搭載しているため、スマホを持って近づくだけで鍵を開けられるのは利便性が高いです!

両手が塞がっていて、ドアを開けたいときって面倒じゃないですか。

そんなときでも、ラクラク開錠できます。

利用者を4段階のレベルで設定できます。最高管理者・一般管理者・ユーザー・ゲストの4段階。

建物の所有者や入居者などを分けて設定できるので、オフィスや賃貸管理などにも使い勝手がいいスマートキーです。

アプリで解錠した場合は、誰が鍵を開けたかスマホ通知が来るので安心です。

単3アルカリ乾電池4本でOK。電気工事が不要で簡単に設置できます。

防犯性の高いタイプ

次に防犯性の高いスマートキーを2つ紹介します。

●URANUS MOBILE

(出典:公式サイト:http://uranuslock.jp/mobile/)

この会社はURANUS LOCK(ウラナスロック)という、今までにピッキングをされたことがないという最高レベルで防犯性の高い鍵を開発しています。

その会社がスマートキーを作りました。

鍵の管理や入退出記録まで搭載されている次世代IoTキーです。

URANUS MOBILEはスマホアプリやICカード、暗証番号など、複数の方法で利用できます。

アプリを使えば簡単に合鍵の登録、削除ができる点も強みです。

99.9%の場所に設置することができるのですが、作業は専門業者が行ないます。

お値段がちょっと高いですが、サポート体制も充実しているので安心感はあります。

●AEGIS GATE

(出典:Amazon)

鍵穴がないタイプなので、ピッキングやバンピングなどの不正解除に対する防犯性は抜群です。

耐久性にも優れています。

開け方は、FeliCa搭載のスマホ、ICカード、暗証番号の3種類です。もちろんオートロック機能もあるので、閉め忘れの心配も不要です。

既存の鍵穴を利用して使う電池式のスマートキーなので、扉加工や配線工事、電気工事は必要ありません。

以上です。

玄関のドアは、出勤、買い物、ご近所さんとの交流、宅配物の受取り、ごみ捨て、回覧板回しなどで、毎日毎日何度も開け閉めするものです。なるべく慎重に選ぶようにしてください。

まとめ

ここでは、スマートキーの仕組み、メリット・デメリット、製品の選び方などをご紹介してきました。スマートキーを導入するイメージが湧いてきたのではないでしょうか。

・開け閉めする頻度が多い
・いつも外出時の荷物が多い
・鍵のかけ忘れを確かめるため、自宅へ引き返すことがある
・鍵を失くした経験がある
・防犯性を強化したい
・夜遅い時間に開け閉めすることが多く、鍵でガチャガチャという音を出したくない

こういった場合は、スマートキーの導入を検討してもよいでしょう。

実際に購入する際には、ご自身やご家族のライフスタイルに合った製品を選ぶことが重要です。「普段どのようなことに不安や不便を感じているか」などをご家族で話し合っおくと、ピッタリのものが見つかりやすくなるでしょう。通販サイトなどにあるレビューもしっかりとチェックするようにしてください。