住み替えの事例3選
弊社で住み替えのお手伝いをさせていただいた事例を3件紹介します。
・もう少し広い家を住み替えたい。
・もう少し小さな家へ住み替えたい
・コンパクトシティ構想を見越した住み替え
上記の3つの事例です。
もう少し広い家へ住み替えたい
ご相談者:40代のご夫婦(子どもが3人/中学生・小学生・3歳)
物件:3LDKのマンション
3LDKから4LDKへ
ご家族が増えて、「今住んでいるご自宅が手狭になってきたから、もう少し広い家への引っ越したい」という方がよくいらっしゃいます。
1年ほど前にお越しになった40代のご夫婦も、現在お住まいになっている3LDKのマンションを売却して、もっと広い家へ住み替えたい、というご相談でした。
聞けば、中学生と小学生、それから3歳のお子さんがいらっしゃるとのこと。「子どもが小さい頃はなんとかなったけれど、このままではちょっと狭すぎる」というお話でしたね。
そして、このご夫婦は、マンションの利便性をとても気に入っておられたので、戸建てではなく、マンションからマンションへの住み替えをご希望されていました。
さらに、お子さま方のために「学区を変えたくない」とご所望だったので、ご近所で条件に沿うような物件を探すことになりました。
そうしたらタイミング良く、以前私どもからマンションをご購入いただいた方から、「売りたい」というご相談が舞い込んできたんです。その物件は4LDKの広さで、先日ご相談にみえたご夫婦が希望される学区内にありました。
この売主さんはもともと著名な大学の先生で、売却理由は、「今の家はすごく快適だけれど、一人娘と同居することになったので、名古屋へ行くことになった」ということでした。
「これは良い巡り合わせだな」とピンときましたので、先ほどのご夫婦をさっそくご案内したところ、思った通り気に入っていただき、話を進めることになりました。
購入前にお引っ越し!?
このような住み替えの場合、いちばん難しいのは、「売るタイミングと買うタイミングをどうするか」ということなんです。
今の家のローンが残っているのに、次のマンションのローンを組む場合、一時的にですが、両方のローンを払わないといけなくなります。収入がたっぷりある方はそれも可能なのでしょうが、普通の方には難しいですよね。
相談者のご夫婦も、現在お住まいのマンションのローン残債があったため、まずはそちらを解消し、その上で次に購入するマンションのローンを組む必要がありました。
ですから、住み替え先を探すのと同時進行で、買主さん探しもいたしました。幸い、今回の3LDKのマンションは立地も良かったため、1800万円で売り出したところ、無事買い手がつきました。
でも、売却手続きを済ませるためには、家を明け渡さないといけません。そうなると、いったん賃貸にお引っ越しされるのが一般的ですが、ここである秘策を思いつきました。
4LDKの売主さんは、もともと私どもから物件を購入していただいたということもあり、以前からお付き合いのある方です。
ですので、「まだお金を払っていないけれど、先に引っ越させてくれませんか」とお願いしてみたんです。まあ、普通はなかなか難しいことではありますが、状況をご説明したところ、「ああ、そうですか」と快諾してくださいました。
そこで、売主さんが名古屋へと引っ越された直後に、ご相談者には3LDKのマンションを売却して、ローン残債を払ってもらい、そのまま、まだ買っていないマンションに引っ越してもらったんです。
その後、新しく購入する4LDKのマンションのローンを組んでもらい、無事に持ち主の方へのお支払いも済ませることができました。
4LDKのマンションの売主さんと、今回住み替えをされたご夫婦と、3LDKのマンションの買主さんと、合わせて3人のお客様が一気に動けたということで、皆さんから「すごく良かった」と感謝され、不動産冥利につきましたね。
こんな風に絶妙なタイミングで物事が進むというのは、難しいことは難しいのですが、実はこれまでに何度も同様のことはありました。うまくいくときは、トントン拍子でうまくいくものなのかもしれません。
もう少し小さな家へ住み替えたい
ご相談:60代のご夫婦
物件:郊外にある約40坪の戸建て(土地は約70坪)
庭付き一戸建てから市内のマンションへ
ご主人が定年に入られたばかりの、60代前半のご夫婦が、住み替えのご相談にいらっしゃいました。その時お住まいのご自宅は、郊外にある、敷地面積約70坪の一戸建て。建物も約40坪と広く、立派なお庭もありました。
すでにお子さんは巣立たれていて、その広い一軒家にご夫婦お二人で暮らしていらっしゃるとのこと。
以前は、庭仕事を楽しんでいたという奥様ですが、今は暑い季節に雑草を抜いたり、庭を掃除したりするのが、だんだん面倒に感じてきてしまったとおっしゃいます。
また、今お住まいの家は、バス便しかない郊外にあるため、病院へ行くのにも、「バス停まで10分歩いて、バスに25分乗る」必要があり、車が運転できるうちは良いけれど、将来を考えると不安だというお話でした。
そこで私は「市内のマンションはいかがですか?」と提案しました。お二人は、「もう少し便利な場所に建っている、今より小さめの戸建て」を想定されていたようで、「えっ、マンションですか…」と、最初はかなり躊躇しているご様子でした。
ずっと戸建てに住んでいた方にとっては、「マンションに住む」という選択肢が想定外であるケースは多いものです。
そこで実際に、ご予算と希望条件に合った、マンションと戸建てを両方見ていただくことにしました。当初、「マンションは不安だな」とおっしゃっていたご相談者様でしたが、やはり、窓からの眺望が良かったり、歩いていけるところにスーパーマーケットや病院、各種施設などが揃っている様子を実際にご覧になると、「こんな暮らしも良いのかも」とお考えが変わって、最終的にマンションを購入されました。
決め手は、娘さんたちのひと言
ご相談者さまが戸建てではなく、マンションを購入された最後の決め手は、娘さんたちが2人揃って、「あの場所のマンションだったら欲しい」とおっしゃったことです。
不動産は、次の世代に引き継がれていくものですから、「20年、30年後に、マンションと戸建てのどちらを遺して欲しいか、娘さんたちに聞いてみてください」と申し上げたところ、そのようなお答えが返ってきたというわけです。
便利な立地のマンションは、自分たちで住むのはもちろん、貸すのも簡単です。売却したければ、それも簡単にできます。それに対して、戸建てはメンテナンスが大変で、賃貸や売買にも手間がかかってしまいます。
購入されたのは3LDKのマンションでしたが、老後用にと貯めていた資金を使って、現金でお買いになりました。ご自宅を売却したお金は後から入ってきますから、資金に余裕がある場合は、先に現金一括で支払われるに越したことはありません。
その後、郊外の一軒家のご自宅が無事に売却できたので、そちらを老後の資金に充てることができました。購入されたのは、子育て世代の方で、賃貸からの住み替えでした。ほぼ土地代だけで立派な家がついてきたのですから、購入した方も満足されていましたね。この住み替えは、かなり理想的なケースだったと言えるのではないでしょうか。
今はまだ郊外の家は売れますが、あと10年したら、売却費は半額程度に下がってしまう可能性があると思っています。今、郊外はどんどん地価が下がってきていますから。ですから、タイミング的にもとても良い住み替えだったと思います。
コンパクトシティ構想を見越した住み替え
ご相談者:30代前半のご夫婦(子どもが2人/3歳・5歳)
物件:郊外にある立派な戸建て
コンパクトシティ化で郊外の地価が下がる!?
最近ご相談に見えた30代前半のご夫婦は、郊外にある、立派な注文住宅にお住まいでした。まだ建てて3年前後と新しく、デザインにもこだわりが感じられる、ステキな一軒家でした。
3歳と5歳のお子さんが2人いらして、子育てするのには申し分のない環境だったのですが、「職場まで遠い」ということと、「コンパクトシティ化が進んだら、資産価値がどんどん下がってしまうかもしれない」という将来への不安から、ご夫婦で相談された結果、「今のうちに、地価が下がる心配のない便利なエリアへ引っ越しておきたい」という結論に至ったそうです。
確かに今、地方都市では、「コンパクトシティ」への取り組みが進んでいます。コンパクトシティというのは、住宅や公共施設、商業施設などを一定のエリアに“コンパクトに”まとめることで、利便性を高めて、豊かな暮らしを送れるようにしようという考え方で、国土交通省による誘導政策が行われています。
ある一定のエリアにまとまって居住すれば、マイカーを使わずとも、徒歩圏内、あるいは公共交通機関で行ける範囲に、生活に必要な施設やサービスが揃うようになり、暮らしはどんどん便利になります。
そうすることで、訪問看護といった福祉面でのサービスも受けやすくなりますし、さらに二酸化炭素排出量の削減につながるので、環境面でのメリットもあります。
ですので、せっかくの理想的なお住まいを売却されるのはもったいないと思う反面、「今より小さくなっても、利便性の高い市内の中心部に住み替えたい」というお考えは、私どもとしても、うなずけるものでした。
これから日本はどんどん高齢化が進むので、需要と供給のバランスで考えればわかることですが、郊外の家はそのうち見向きもされないようになってくることでしょう。
郊外の注文住宅から市内の建売住宅へ
ご相談者様がお住まいのエリアは、地価が坪単価15万円ほどのところでしたが、住み替え先としてご希望のエリアは、坪単価がおよそ40万円。便利で地価が高い場所は、学校区としても人気のエリアになるので、どうしても、さらに坪単価が上がってしまうんですよね。
でも、共働きでご夫婦ともに収入がありましたから、結局、ご希望のエリアにある、小さな新築の建売住宅へとお引っ越しされました。
そのご夫婦はもともと岡山の方ではなかったので、ご先祖様や親御さんなどのしがらみもなく、「利便性を重視する方が、自分たちのライフスタイルに合っている」とおっしゃっていました。まあ、地元の方ではないわけですから、そのうち売却されることを視野に入れていたのかもしれませんね。
話がちょっと脇道にそれますが、住宅の売買に関する動きは、今の時代の背景や社会経済の環境に見事にリンクしているなあ、と感じることが多いですね。
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