空き家 公開: 2026.09.19
空き家問題の解決に相続放棄は使えない——管理義務が残る理由
「空き家を相続したくないから相続放棄すればいい」。そう思っていませんか。実は相続放棄をしても管理義務が残るため、空き家問題の根本的な解決にはなりません。岡山市中区で35年以上・2,000件以上の実績を持つアーキ不動産が仕組みと対処法を解説します。
動画でも解説しています: 空き家問題解決方法としての相続放棄
「実家の空き家を相続したくない。相続放棄すればいいんでしょ」。そう思っている方は少なくありません。
ところが、相続放棄をしても管理義務が残るため、空き家問題の根本的な解決にはならないのです。
岡山市中区でも相続した空き家の相談を多くいただきますが、相続放棄の仕組みを正しく理解していないと「こんなはずじゃなかった」ということが起きます。
今日は相続放棄の仕組み、管理義務が残る理由、空き家の現実的な対処法をお伝えします。
相続放棄とは何か
相続放棄とは、相続人としての立場から離れ、遺産も負債も一切受け取らないという手続きです。家庭裁判所で相続放棄の申述が受理されると、その人は初めから相続人ではなかったことになります。
他の相続人と遺産分割協議をする必要もなく、借金を相続することもありません。固定資産税の支払い義務もなくなります。
手続きは、相続があったことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所で行います。「知ってから」なので、親が亡くなったことを1年後に知った場合は、知った日から3ヶ月以内です。
ここまでは確かに空き家を相続しない方法に見えます。ところが、落とし穴があるのです。
相続放棄をしても管理義務が残る
民法第940条第1項に、こう定められています。
相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけると同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
つまり、相続人全員が相続放棄をした場合、最後に放棄した人に遺産の管理義務が残るのです。
2023年4月の法改正により、この管理義務は**「現に占有している者」のみ**に課されるようになりました。以前は相続放棄をした人すべてに管理義務がありましたが、現在は実際に管理している人だけが対象です。
ただし、空き家を実際に管理している人が相続放棄をした場合は、次の相続人が管理を始めるまで義務が続きます。
管理義務とは何か
管理義務は「自己の財産におけると同一の注意」です。他人の財産を預かるほどの特別な注意は不要ですが、自分の財産を適切に管理して人に迷惑をかけない程度の配慮が求められます。
もし適切に管理をしなかった場合、たとえば空き家が倒壊して近隣住民や通行人に損害を与えたら、損害賠償を請求される可能性があります。
つまり、相続放棄をすると固定資産税の支払いは免れますが、管理義務だけが残り、管理費用だけがかかるという状態になるのです。
相続土地国庫帰属制度という選択肢
では、相続放棄をせずに相続した上で、国に引き取ってもらう方法はあるのか。
2023年4月から相続土地国庫帰属制度が始まりました。これは一定の条件を満たせば、相続した土地を国庫に帰属させることができる制度です。
ただし、建物が建っている土地は対象外です。更地にする必要があり、解体費用がかかります。また審査手数料や10年分の管理費相当額の負担金も必要です。簡単に国が引き取ってくれるわけではありません。
空き家の現実的な対処法
相続放棄では空き家問題は解決しません。では、どうするか。
現実的な選択肢は3つです。
1つ目は売却。建物付きでも買い手がつく可能性はあります。岡山市中区は立地によっては需要がありますので、まず査定を受けることをおすすめします。
2つ目は賃貸。住める状態なら貸すことで固定資産税や管理費を賃料で賄えます。
3つ目は解体して土地活用。駐車場や売却しやすい更地にする方法もあります。解体費用はかかりますが、自治体の補助金制度が使える場合もあります。
まとめ
- 相続放棄をしても管理義務が残る——2023年4月改正後も「現に占有している者」には義務がある
- 管理を怠ると損害賠償のリスク——倒壊・近隣トラブルで責任を問われる可能性
- 相続土地国庫帰属制度は更地が前提——建物付きは対象外で、解体費用と負担金が必要
- 現実的な対処法は売却・賃貸・解体——早く動くほど選択肢が多い
「相続放棄すれば何もなかったことになる」という思い込みで放置すると、管理費用だけがかかり続けます。
空き家問題に直面したら、その地域のことをよく知っている不動産会社に相談し、売却・賃貸・管理のどれが現実的かを一緒に考えることが大切です。
アーキ不動産は岡山市中区が地元で、一級建築士が建物の状態を見た上で、売却・賃貸・管理を含めた現実的な選択肢をご提案します。「相続放棄を考えている」段階からご相談ください。
執筆: アーキ不動産(株式会社アーキ・クリエイト)/ 岡山県知事免許(9)第3595号・岡山県宅地建物取引業協会会員。 記事の内容は公開時点の情報です。税制・法令の適用は個別の状況により異なるため、実行前に専門家へご確認ください。