空き家 公開: 2026.08.23
実家をそのまま賃貸に——初期投資を抑えて相続対策・固定資産税対策にも
相続した実家をリフォームせず「そのまま貸す」という新しい活用法があります。初期投資が少なく済み、意外と需要があり、家族の思い出を残せる。岡山市中区で数多くの空き家活用を手がけてきた一級建築士・宅地建物取引士が、そのまま賃貸のメリットと注意点を解説します。
動画でも解説しています: 【空き家活用】実家をそのまま賃貸に!相続対策&固定資産税対策にも|地方の空き家問題解決法
親が亡くなり、実家が空き家になった——このとき多くの方が「売却するか、リフォームして賃貸に出すか、それとも解体するか」の3択で悩みます。
ですが最近、**リフォームせずに「そのまま貸す」**という新しい活用法が注目されています。
総務省の2023年調査によれば、全国の空き家数は約900万戸に達しており、社会問題化しています。そんな中、初期投資を抑えて家を活用できる「そのまま賃貸」は、現実的な選択肢の1つです。
岡山市中区の原尾島や国富でも、「古い家だから誰も住みたがらないだろう」と思っていたら、意外と借り手が見つかったというケースがあります。今回は、そのまま賃貸のメリットと注意点を整理します。
そのまま賃貸の3つのメリット
メリット1|初期投資が少なく済む
最も大きなメリットは、初期投資が少なく済むことです。
リフォームや建て替えにはかなりの費用がかかります。水回りを全面改修すれば数百万円、建て替えであれば数千万円の投資が必要です。
ところが「そのまま貸す」であれば、最小限の修繕で済みます。家財を片付け、簡単な清掃をして、壊れている箇所だけを直せば貸し出せます。
メリット2|意外と需要がある
「古い家だから借り手がいない」と思いがちですが、実際はそうではありません。
お風呂とトイレがあって屋根があれば住みたいという人は意外と多いのです。特にその地域に愛着がある人や、昔ながらの家に住みたいという人にとっては魅力的な物件になります。
またDIY可として貸し出すのも人気があります。入居者自身がリフォームできるというのは、むしろ魅力的なポイントになります。
岡山市中区の浜や平井でも、「古い家だからこそ味がある」と借りてくれる方がいます。
メリット3|家族の思い出を残せる
建て替えてしまうと、思い出の詰まった家がなくなってしまいます。
ですが「そのまま貸す」であれば、家族の歴史が残った姿を保ちつつ活用できます。誰かに住んでもらうことで、その家に新しい物語が生まれます。
注意点——耐震基準・相続登記・管理責任
「そのまま貸す」にはメリットがある一方で、注意点もあります。
注意点1|耐震基準を満たしているか確認する
古い家の場合、耐震基準を満たしているかどうかの確認が必要です。
1981年5月31日以前に建てられた家は、旧耐震基準で建てられている可能性があります。大きな地震が起きたときに倒壊のリスクがあり、入居者の安全を守れません。
耐震補強が必要になることもありますので、一級建築士や建築士に診断を依頼してください。
注意点2|相続登記をきちんとしておく
賃貸に出す前に、相続登記をきちんとしておくことも重要です。
2024年4月から相続登記が義務化され、3年以内に登記を行わないと10万円以下の過料が科される可能性があります。
名義が故人のままでは賃貸契約を結ぶこともできませんので、必ず相続登記を済ませてください。
注意点3|管理責任がある
賃貸に出すということは、所有者として管理責任を負うということです。
たとえば外壁が壊れて近隣の方に怪我をさせてしまったら、所有者が損害賠償を負う可能性があります。
また入居者の募集・契約・家賃の回収・建物の維持管理など、手間がかかります。遠方に住んでいる場合は、地元の不動産会社に管理を委託することをお勧めします。
家財の片付けは時間をかけて丁寧に
「そのまま貸す」といっても、家の中にあるものは全て片付ける必要があります。
これが意外と大変です。たとえば50平米くらいの普通の家でも、4人がかりで3日間、2トントラック2台分くらいかかることもあります。
片付けの際のコツは、最初の1〜2日は捨てない時間を作ることです。引き出しの中身や押し入れの奥まで全ての物を見て回ります。これは単なる片付けでなく、家族の歴史を振り返る貴重な時間にもなります。
物の仕分けも重要です。たとえば「マンションの倉庫に入る分だけ残す」といった具体的な基準を決めるといいでしょう。写真や通信簿など2度と手に入らないものは残し、それ以外は思い切って処分する——こういった明確な基準があると、迷わず片付けられます。
家賃設定は控えめに——入居者がいれば管理不全空き家を回避できる
家賃設定も重要です。
最初から高額の賃料を狙うより、少し控えめな設定から始めるのがいいでしょう。
たとえば「月2万円でも3万円でも貸せたらいい」くらいの気持ちで始めたら、意外にも月10万円で貸せたというケースもあります。
また家賃収入が入れば、固定資産税の支払いに充てることもできます。
さらに人が住んでいれば、「管理不全空き家」の指定を回避できます。管理不全空き家に指定されると固定資産税の住宅用地特例が外れ、税金が最大6倍になることがあります。入居者がいれば、この心配はありません。
地域の活性化にもつながる
「そのまま貸す」は単なる個人の財産活用だけでなく、地域の活性化にもつながる可能性を秘めています。
空き家が減ることで、コミュニティの維持にもつながります。新しい人が住むことで、地域に新しい風が入ります。
岡山市中区でも、「古い家に若い人が住んでくれて、町内会が活気づいた」という声があります。
まとめ
- 初期投資が少なく済む——リフォームせず最小限の修繕で貸し出せる
- 意外と需要がある——DIY可として貸し出すのも人気。古い家だからこそ味がある
- 家族の思い出を残せる——誰かに住んでもらうことで新しい物語が生まれる
- 注意点——耐震基準の確認、相続登記、管理責任がある
- 家賃設定は控えめに——入居者がいれば管理不全空き家を回避できる
もちろん全ての家がそのまま貸せるわけではありません。家の状態や立地によっては、売却や解体を選択する方が適切な場合もあります。
大切なのは様々な選択肢を検討し、自分の状況に合った最適な方法を選ぶことです。アーキ不動産は岡山市中区が地元で、一級建築士として建物の状態を診断した上で、売却・賃貸・管理を含めた現実的な選択肢をご提案します。
執筆: アーキ不動産(株式会社アーキ・クリエイト)/ 岡山県知事免許(9)第3595号・岡山県宅地建物取引業協会会員。 記事の内容は公開時点の情報です。税制・法令の適用は個別の状況により異なるため、実行前に専門家へご確認ください。