売却の基本 公開: 2026.07.29
「既存不適格建築物」と「違反建築物」の違い——売却はできる?
古い家を相続する時、これ建築違反かも、と不安になることがあります。既存不適格建築物と違反建築物の違いを理解し、売却時にどう扱われるのかを一級建築士の視点で解説します。
動画でも解説しています: 「既存不適格建築物」と「違反建築物」の違い 売却はできる?
古い家を相続する時に、「これ建築違反かもしれない」「何か責任を取られるんでしょうか」というご質問をいただくことがあります。
今日は、既存不適格建築物と違反建築物の違いを整理して、売却時にどう扱われるのかをお伝えします。
既存不適格建築物と違反建築物の違い
どちらも現在の法令の基準を満たしていないという点では同じです。では何が違うのかというと、建築時点で法的な基準を満たしていたかいなかったかが判断基準になります。
既存不適格建築物とは
建築当時は適法だったけど、法律改正によって現在の基準に合わなくなった建物です。
例えば、地震に対する基準は、度重なる地震の被害を経て1981年に大きく改正されました。この改正以前に建てられた建物は、古い建築基準で建てられているため、今の基準では良くないということになります。
こうした建物を既存不適格建築物と言います。1981年以前の建物を旧耐震基準、それ以降を新耐震基準と呼びます。
他にも、道路に関することや用途地域が変わることで、法律が変わって違法になってしまったものも既存不適格に含まれます。
既存不適格建築物は、そのまま利用することについては問題ありません。ただし、地震に対する基準が古い建物は強度が高くないため、地震に対するリスクがあります。その管理については気をつけて使う必要があります。
建築基準法では、県知事などの特定行政庁が、既存不適格建築物に対して危険な状態であったり、周辺に害を及ぼすような状態であれば、猶予期間を設けて改善を請求するとか、取り壊しを命じることができるという法律はあります。ただし、なかなか適用されません。
違反建築物とは
もともと建築基準法・都市計画法に違反して建てられた、または今ある建物に違法な増改築をした建物です。
法律違反ですから、いろんなデメリットがあります。建物の建築主や所有者に対して、是正命令が出ることもあります。是正しなさいという命令を受けても何もしていない場合は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が課せられることになっています。
建築確認申請に出したものはOKだったけど、実際に建てたものが違うというケースも過去には多くありました。確認申請は通ったけど、違うものを建てて検査を受けなかった場合は、手続きはOKだけど実態は違反ということになります。
売却はできるのか
結論から申し上げると、売却はできます。ただし、現在の建築基準法に適さないので、買っていただく方にもそのことが分かっていただいて買っていただくことになるので、条件的に非常に不利になります。
住宅ローンの審査が通りにくい
違反建築は、住宅ローンの審査の対象外になります。建物の価値がゼロというふうに銀行が見ていくことになります。これが大原則です。
買う方・ローンを組む方の信用力によって例外があって、全くできないことはないのですが、原則できないというふうに思っていた方がいいと思います。
是正命令が出ている場合
違反建築で是正命令が出ていると仮にすれば、それを是正するために手間がかかる・お金がかかる・大幅な修繕をする場合があるなら、もうそれをせずに建物そのものをなくして更地にして土地として売却ということになります。
建物がなかったら、これは何もありませんので、土地として売るということで進めていくことにもなります。
違反建築でも価値があるものもある
違反建築または既存不適格の建物は、本当にもうただ同然みたいになるかというと、そうでもなくて、高い価値があるものもあります。
既存不適格だけどしっかりしている建物とか、こういうこともあるので、それなりの値段がついて売れる場合もあります。
ここは原則と違うので、そういうことをご検討されるんだったら、不動産業者をお探しになって、そういう経験もあって相談に乗ってくれるようなところをお探しになって相談する、もしくは2軒3軒複数の業者に相談をして、的確なアドバイスをいただくということも必要になってくると思います。
まとめ
- 既存不適格建築物——建築当時は適法だったが、法改正で現在の基準に合わなくなった建物。そのまま利用することは問題ない
- 違反建築物——もともと建築基準法・都市計画法に違反して建てられた、または違法な増改築をした建物。法律違反
- 売却はできる——ただし住宅ローンの審査が通りにくく、条件的に非常に不利
- 更地にして土地として売る——是正命令が出ている場合や、建物の価値がゼロの場合は更地にする選択肢もある
- 価値があるものもある——既存不適格でもしっかりしている建物は、それなりの値段がつく場合もある
岡山市中区で古い家を相続して売却を検討される方は、まず専門家に相談して、既存不適格か違反建築かを確認してください。複数の業者に相談して、的確なアドバイスをいただくことをおすすめします。
アーキ不動産は一級建築士事務所として、建物の状態を建築士の目線で診断し、売却・賃貸・管理を含めた現実的な選択肢をご提案します。まずはお気軽にご相談ください。
執筆: アーキ不動産(株式会社アーキ・クリエイト)/ 岡山県知事免許(9)第3595号・岡山県宅地建物取引業協会会員。 記事の内容は公開時点の情報です。税制・法令の適用は個別の状況により異なるため、実行前に専門家へご確認ください。