ご相談者  女性・30代半ば

売ったお金では、残りのローンを払えない?

30代半ばの女性が、「離婚することになったので、家を売りたい」と相談にいらっしゃいました。売却したお金で残りのローンを全部払えれば良かったのですが、詳しくお話をお聞きして調べたところ、500万円ほど足りないことがわかりました。

家を購入して、まだ5~10年しか経たないのに売却したいという場合、離婚が理由であるケースがとても多いのですが、その時点では、売ったお金でローンを払い切れないというのが現実なんです。

最初に自己資金をたくさん入れているとか、すでに20年以上払い続けているのであれば、売ったお金で残債を払える可能性も高いでしょう。でも残念ながら、今回のケースのように、売却金額よりも住宅ローンの残高が多いことの方が一般的なんですね。

住宅ローンをご夫婦お二人で組んでいらっしゃる場合、共同で支払いの責任を負っていることになります。離婚をしても、その家のローンを二人で払い続けるというのは、いつまでも縁が切れないということになるので、できれば避けたい事態です。

今回ご相談にいらした奥様もフルタイムで仕事をしていらっしゃる方で、ご夫婦の収入を合算してローンを組み、建物も半分ずつ所有しているということでした。

そして、奥様はすでに家を出られていて、ご主人はそこで一人暮らしをされているという状態。離婚することが正式に決まったので、届出を出すと同時に家を処分したいというご意向でした。問題は残りのローンをいったいどうするのか。事態は深刻です。

お金の工面に関してもアドバイス

残りのローンは500万円ですから、お互い250万円ずつ出さないといけません。まずはそのお金の工面に関して、いろいろとご相談を受けました。結局、奥様の方はご実家からお金を借りてきてお支払いされることに決まりました。

ご主人の方は、銀行の「フリーローン」を利用することに決定。「フリーローン」というのは、お金の使い道を問わないローンで、最長返済期限が10年です。銀行によっても違いますが、だいたい上限1000万円くらいまで利用できると思います。ご主人はちゃんとした収入のある方でしたから、ローン審査にも通って、無事返済をお済ませになりました。

最初ご主人は、「残ったローンは私が払い続けていくから、今の家に住み続けたい」とおっしゃったのですが、それはできない相談です。なぜなら、銀行は抵当権を設定していますので、それを抹消するためには全額払わないといけないという決まりがあるからです。

それでも「なんとかなるだろう」と銀行へ相談に行かれましたが、もちろん断られてしまいました。あとで私が詳しくご説明したところ、「ああそうか」と納得されて、「フリーローン」をご利用されることになったというわけです。

離婚が原因で家を売却される場合、夫婦揃ってご相談に見えることはまずありませんから、どちらか片方がお一人でいらっしゃいます。その場合、「相手の方はどう思っていらっしゃるんですか?」と二人の仲を取り持つような感じで返済のご相談に乗ることが多いですね。

だいたい女性の方が決断力があって、テキパキされている場合が多いように思います。今回のケースも、主導権を持って進められたのは奥様の方でしたね。

この記事を書いた人

archi
archiアーキ君