相続 公開: 2026.11.01
田舎の相続した土地や家を処分したい——売る・譲る・国に返す、順番と現実
相続した田舎の土地や家は、持っているだけで管理責任と固定資産税がかかります。まず売れるか調べる、売れなければ無償譲渡、それも難しければ相続土地国庫帰属制度。岡山市中区の不動産会社が、処分の順番と制度の要件を整理します。
動画でも解説しています: 【プロが教える賢い不動産売却】田舎にある相続した土地や家を処分したい/アーキ不動産(岡山市中区)
「親から相続した田舎の土地と家がある。使う予定はないし、管理にも行けない。処分したいが、どうすればいいのか」。岡山市中区の店舗でも、県北や他県に実家のある方から毎月のようにいただくご相談です。
結論から言うと、処分には順番があります。①売れるか調べる → ②売れなければ無償で譲る → ③それも難しければ国に返す制度を検討する。この記事では、その順番と、それぞれで押さえるべき点をお伝えします。
本記事は一般的な情報提供です。制度の要件・費用は改正されることがあります。個別の案件は法務局・司法書士・税理士にご確認ください。
「持っているだけ」で発生するもの
まず前提として、不動産を所有していると次の負担が毎年発生します。
- 固定資産税・都市計画税。使っていなくても課税されます
- 管理責任。屋根が飛んで隣家を傷つけた、草木が道路にはみ出した、という場合の責任は所有者にあります
- 相続登記の義務。2024年4月から、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内の登記が義務になりました(正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象)
「いつか考える」と先送りしている間に、次の相続が発生して相続人が増え、話がまとまらなくなるケースを何度も見ています。「自分の代で次の世代に引き継がせるのか、ここで処分するのか」を最初に決めることが出発点です。
ステップ1|売れるかどうかを調べる
いちばん先にやるべきことは、「売却できるか」を地元の不動産会社に聞くことです。
目安は、その土地から10キロ圏内に不動産会社があるかどうか。需要のある場所には不動産会社があります。郊外にある会社は、ご年配の方が長く地域を見てきた会社であることが多く、「この辺りは売れるか、いくらくらいか」を一度聞くだけで方向が決まります。
価格は厳しい数字になることもあります。それでも「売れる価格で処分する」のが、所有を終わらせる最も確実な方法です。
ステップ2|売れないなら「もらってもらう」
需要がなく売れないと分かったら、次は無償譲渡です。意外に思われるかもしれませんが、「お金はいらないので引き取ってほしい」というやり方は実際にあります。
- 隣地の所有者(農地や庭を広げたい方)
- 地元で事業をしている方
- 自治体の空き家バンク(自治体によっては無償物件の登録枠があります)
ここでも、譲渡のあと名義を確実に移すために、司法書士への登記依頼を忘れないでください。名義が残ったままだと管理責任も残ります。
ステップ3|相続土地国庫帰属制度
売れない、譲れない。そんな土地のために、**2023年4月27日から「相続土地国庫帰属制度」**が始まりました。相続または遺贈で取得した土地を、法務局の審査を経て国に引き取ってもらう制度です。
ただし、要件は厳しいと思ってください。主なものは次のとおりです。
- 建物がないこと(家が建っていれば解体が必要)
- 担保権(抵当権など)や使用権が設定されていない
- 境界が明らかで、所有権や境界について争いがない
- 土壌汚染がない、崖地でない、通路など他人が使っている部分がない
- 管理に過大な費用や労力がかかる土地でない
申請時に審査手数料(土地1筆あたり14,000円)がかかり、承認されると負担金を納めます。負担金は原則20万円ですが、市街地の宅地や農地・森林は面積に応じて計算され、もっと高くなることがあります(法務省の算定式で確認できます)。
つまり「お金を払って引き取ってもらう」制度です。家を解体する費用、境界を確定する費用、負担金を合わせると、売却価格がゼロでも売ったほうが安く済むことがほとんどです。この制度は最後の手段と考えてください。
相続放棄という選択は慎重に
「いらない土地だけ相続放棄したい」というご相談もありますが、相続放棄はすべての財産を放棄することになります。預貯金や自宅も含めて放棄するのか、その土地は誰が管理するのかを考えると、現実的でない場合が多いです。空き家と相続放棄の関係は、別の記事「空き家問題の解決に相続放棄は使えない」で詳しくまとめています。
まとめ
- 不動産は持っているだけで税金と管理責任がかかる。先送りすると相続人が増えて動かなくなる
- まず売れるか調べる。10キロ圏内の不動産会社に相談する
- 売れないなら無償譲渡。隣地・地元・空き家バンク
- 最後の手段が相続土地国庫帰属制度。建物なし・境界明確などの要件と、負担金(原則20万円)がかかる
アーキ不動産では、岡山市中区を中心に、県内の相続不動産のご相談を受けています。他県の土地でも、売却の見込みがあるかの見立てと、地元会社への取り次ぎはお手伝いできます。一級建築士が建物の状態も見ますので、「解体が必要か、そのまま売れるか」も含めてご相談ください。
執筆: アーキ不動産(株式会社アーキ・クリエイト)/ 岡山県知事免許(9)第3595号・岡山県宅地建物取引業協会会員。 記事の内容は公開時点の情報です。税制・法令の適用は個別の状況により異なるため、実行前に専門家へご確認ください。