内縁の妻が遺言で何かを相続したり、贈与を受けたりした場合、内縁の妻も相続税を支払わなければなりません。また、保険金を受け取った場合も、同様のルールが適用されます。

この記事では、内縁の妻が何かを相続する場合の相続税について、戸籍上の配偶者とどう違うのかを確認していきます。

配偶者の税額軽減制度はない

配偶者の税額軽減制度では、法定相続分または1億6,000万円までは相続税は相続税はかかりません。これは、配偶者が被相続人の財産形成に貢献したことや、遺された配偶者の経済状況の保障を考慮したものです。

ただし、配偶者控除を受けることができるのは戸籍に記載されている配偶者のみで、内縁の妻は対象外です。内縁の妻は、受け取った相続財産に対して相続税を納める必要があります。

小規模宅地等の特例が適用できない

小規模宅地等の特例によって、亡くなった人の自宅の土地や事業用地の相続税評価額を最大80%引き下げることが可能です。相続人の生活基盤を保護するための特例で、配偶者が自宅の土地を相続した場合は、所有や居住の条件がないなど特に優遇されています。

内縁の妻は、小規模宅地等の特例の適用を受けることができず、親族が相続する場合にのみ適用されます。そのため、内縁の妻が遺言などで不動産を取得しても、土地の評価額を下げることはできません。

生命保険金などの非課税枠を利用することはできません

相続人全員が取得した保険金のうち、「500万円×法定相続人の数」の合計額までは、相続税がかかりません。この金額を生命保険金等の非課税限度額といいます。

非課税限度額の対象となるのは、相続人が取得した保険金のみで、内縁の妻が取得した保険金は含まれません。内縁の妻は、受け取った保険金に対して相続税を納める必要があります。

障害者控除が受けられない

“85歳に達するまでの年数×10万円”(特別障害者は85歳に達するまでの年数×20万円)は、障害者が遺産を相続して相続税を納める場合、税額から差し引くことができます。内縁の妻が障害者であっても、障害者控除は法定相続人にしか適用されないため、障害者控除を利用することはできない。

税額は2割加算される

内縁の妻が財産を相続する場合、相続税は標準税率の1.2倍の税率で課税されます。内縁の妻以外にも、配偶者と一親等以内の血族以外の人、つまり孫や兄弟姉妹であっても2割加算されます。

この税制の理屈は、本来は戸籍に記載された夫、子供、両親のための相続財産であるから、他の人が受け取るのは偶然性が高いという考え方から税額が加算されています。