空き家 公開: 2026.11.22
空き家の3,000万円特別控除を受けられる要件——相続した実家を売る前に確認する8つのチェック
相続した空き家を売ったときの利益から3,000万円を差し引ける特例。1981年5月31日以前の建物、相続直前まで親が一人で住んでいた、相続後に貸していない、相続から3年後の年末までに売る、売却価格1億円以下など、要件を一つずつ確認します。適用期限は2027年12月31日まで。
動画でも解説しています: 空き家の3,000万円控除を受けられる要件を解説/アーキ不動産(岡山市中区)
相続した空き家を売ったとき、売却益から3,000万円を差し引ける特例があります。正式には「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」。空き家問題を解決するための行政の取り組みの一環として作られた制度です。
相続した古い家は、親がいつ・いくらで買ったか分からないことが多く、売ると大きな利益が出た扱いになりがちです。この特例が使えるかどうかで、税額が数百万円変わることがあります。
結論から言うと、要件はすべて満たす必要があり、どれか一つ外れると使えません。この記事では、売る前に確認すべき点をチェックリストの形で整理します。
本記事は国税庁の案内に基づく一般的な情報提供です(2026年10月時点)。適用の可否は税務署または税理士に必ずご確認ください。
家屋の要件——4つ
- 相続開始の直前に、亡くなった方(被相続人)が住んでいた家であること。親が建てた家ではなく、「親が住んでいた家」が対象です。亡くなる前に老人ホームなどに入所していた場合も、要介護認定などの一定の要件を満たせば対象になります
- 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された家であること。いわゆる旧耐震基準の建物です。古い建物を放置すると地震で倒壊する危険があるので、解体や耐震改修を促す、という制度の趣旨がここにあります
- 区分所有建物(マンションなど)でないこと
- 相続開始の直前に、被相続人以外に住んでいた人がいないこと。親が一人で住んでいた家、ということです
利用の要件——相続後に使っていない
- 相続のときから売却のときまで、事業・貸付・居住に使っていないこと。相続後に人に貸した、自分が住んだ、事業に使った、という場合は対象外です。「空き家のまま売る」ことが条件です
売り方の要件——耐震基準を満たすか、解体するか
- 家を付けたまま売る場合は、売却時までに現行の耐震基準を満たす改修をすること。または、家を解体して土地だけを売ること。解体する場合は、解体後も土地を事業・貸付などに使っていないことが必要です
2024年1月1日以降の売却からは、買主が売却の翌年2月15日までに耐震改修または解体をする場合も対象になりました。売主側で解体費を先に負担しなくてよい道ができたことになります。
期限と金額の要件
- 相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。たとえば2025年8月に相続が始まったなら、3年後の2028年8月が属する年の12月31日、つまり2028年12月31日が期限です。「丸3年」ではなく「3年後の年末」と覚えてください。先延ばしにするとこの期限を越えて、特例が使えなくなります
- 売却価格が1億円以下であること
そして、この特例自体に適用期限があります。現行では2027年12月31日までの売却が対象です(延長が繰り返されてきましたが、延長されるとは限りません)。
控除額——相続人が3人以上なら一人2,000万円
控除額は相続人一人あたり3,000万円ですが、2024年1月1日以降の売却では、その家を取得した相続人が3人以上の場合、一人あたり2,000万円になりました。2人までなら従来どおり一人3,000万円です。
確定申告が必要——「使えるつもり」で終わらせない
この特例は、売却した翌年の確定申告で申告しなければ適用されません。申告書に、市区町村が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」や、耐震基準適合証明書(改修して売る場合)、売買契約書の写しなどを添付します。確認書の発行には、電気・ガスの閉栓証明や空き家であったことを示す書類が求められますので、相続後の書類は捨てずに保管してください。
アーキ不動産では、特例が使えそうな案件でも、必ずご本人から税務署に事前確認をしていただく手順をとっています。「使えると思っていたら要件を一つ満たしていなかった」という事態を防ぐためです。
解体して売るか、そのまま売るか
特例が使えても、解体費が土地の価格に対して重い場合は、特例を使わずに古家付きで売ったほうが手残りが多いことがあります。実例は「相続した古い家、そのまま売る?解体して売る?」、解体費の内訳は「空き家の解体費用はいくらかかる」で解説しています。
なお、相続した不動産を相続税の申告期限から3年以内に売ると、相続税の一部を取得費に加算できる「取得費加算の特例」もありますが、空き家の3,000万円控除とは併用できません。どちらが有利かは税理士に計算してもらってください。
まとめ——売る前の8つのチェック
- 相続直前まで親が住んでいた家か
- 1981年5月31日以前の建築か
- マンションではないか
- 親以外に住んでいた人はいないか
- 相続後に貸したり住んだりしていないか
- 耐震改修して売るか、解体して売るか(または買主が翌年2月15日までに行うか)
- 相続開始から3年後の年末までに売れるか
- 売却価格は1億円以下か
これに加えて、適用期限は2027年12月31日、相続人3人以上なら一人2,000万円、確定申告が必須、です。
アーキ不動産では、岡山市中区の相続空き家について、一級建築士が建物の築年と状態を確認し、特例の要件に照らした売り方をご提案しています。期限が迫っている方は、お早めにご相談ください。
執筆: アーキ不動産(株式会社アーキ・クリエイト)/ 岡山県知事免許(9)第3595号・岡山県宅地建物取引業協会会員。 記事の内容は公開時点の情報です。税制・法令の適用は個別の状況により異なるため、実行前に専門家へご確認ください。