アーキ不動産(岡山市中区)

相続 公開: 2026.11.19

遺留分侵害額請求とは——相続法改正で「実家を残せなくなる」リスクが生まれた理由

2019年の相続法改正で、遺留分は「不動産で渡す」から「お金で払う」へ変わりました。遺言で実家を一人に残しても、他の相続人から請求されれば現金が必要になり、払えなければ家や土地を売ることになります。岡山市中区の不動産会社が、仕組みと事前の備えを解説します。

相続法改正で変わった不動産相続対策のポイント①遺留分侵害額請求【業歴30年!星川文伯の不動産塾】/アーキ不動産(岡山市中区)

動画でも解説しています: 相続法改正で変わった不動産相続対策のポイント①遺留分侵害額請求【業歴30年!星川文伯の不動産塾】/アーキ不動産(岡山市中区)

実家や親の土地を相続することになるかもしれない、という方に知っておいてほしい制度があります。遺留分侵害額請求です。

結論から言うと、2019年の相続法改正で、遺留分の精算は原則として「お金」で行うことになりました。それまでは土地や建物の一部を渡して解決できたものが、現金で払わなければならなくなった。この変化が、「思い出のある家や土地を残せなくなる」リスクを生んでいます。

本記事は一般的な情報提供です。遺留分の計算や請求の可否は個別の事情で変わります。弁護士・司法書士・税理士にご相談ください。

遺留分とは——最低限守られる取り分

遺留分とは、亡くなった方の配偶者・子ども(直系卑属)・親(直系尊属)に保障される、最低限の相続財産の取り分です。兄弟姉妹には遺留分はありません。

割合は、原則として法定相続分の2分の1(相続人が親だけの場合は3分の1)です。たとえば子ども2人が相続人なら、それぞれの法定相続分は2分の1、遺留分はその半分の4分の1ずつになります。

極端な例を挙げると、財産を残して亡くなった夫の遺言書に「全財産を愛人に相続させる」と書いてあったとします。ドラマのような話ですが、実際に問題になることがあります。このとき家族は、遺留分を主張することで、相続財産の一部を取り戻すことができます。

2019年の改正で何が変わったか

約40年ぶりの大きな相続法改正で、2019年7月1日から、それまでの「遺留分減殺請求」は「遺留分侵害額請求」に名前と中身が変わりました。

改正前(遺留分減殺請求)改正後(遺留分侵害額請求)
精算の方法不動産などの現物を渡すことができた(共有になる)原則として金銭で支払う
不動産への影響土地・建物が請求者との共有になる共有にはならないが、払う現金が必要になる

改正前は、請求された側が土地や建物の持分を渡すことで解決できました。ただ、その結果として不動産が共有状態になり、売ることも貸すこともできない「塩漬け」の原因にもなっていました。改正はそれを解消する狙いがありましたが、代わりに**「現金を持っていなければ対処できない」**という新しい問題が生まれました。

「土地を守るために遺言を書いた」のに土地を売る——起こりうる流れ

先祖代々の土地を長男に引き継がせたい。そう考えて「土地はすべて長男に」と遺言を書いたとします。

相続が発生したあと、他の子どもが長男に遺留分侵害額請求をしました。改正後は、長男は遺留分に相当する額を現金で支払う義務を負います。預貯金で足りなければ、相続したその土地を売却して現金を作ることになりかねません。

つまり、土地を守るために書いた遺言が、結果として土地を手放す原因になる。これが改正後に起きうる皮肉な流れです。請求には期限があり、相続の開始と遺留分侵害を知ってから1年、または相続開始から10年です。

不動産が多い相続ほど備えが必要

遺留分の額は、不動産を含む全財産の評価額で決まります。預貯金が少なく、財産の大半が自宅や土地という「不動産が多い相続」ほど、現金での支払いに困ります。岡山市中区でも、代々の土地や自宅が主な財産というご家庭は多く、他人事ではありません。

備えとして考えられることは次のとおりです。

  • 不動産の評価額を把握しておく。遺留分の額を見積もるには、まず財産の総額が必要です。査定で現在の価値を知っておきます
  • 遺留分に相当する現金を準備する。生命保険(受取人を土地を継ぐ人にする)で現金を用意する方法が一般的に使われます
  • 生前に家族で話し合う。「なぜこの土地をこの人に残すのか」を伝え、他の相続人には別の財産や生前贈与で配慮しておく
  • 遺言書に付言事項を書く。法的な効力はありませんが、理由を書き残すことで請求に至らないケースもあります
  • 売却も選択肢に入れる。土地にこだわって揉めるより、生前に売却して現金で分けたほうが家族が円満に残る場合もあります

相続が始まる前に、不動産のプロに

遺留分の問題は、相続が始まってからでは選択肢が狭くなります。「どの不動産を誰に、どう残すか」を考える段階で、不動産の価値と売りやすさを把握しておくことが、現実的な分け方の土台になります。相続した実家を売るときの税金の特例は「実家相続の落とし穴」で、名義の決め方は「父が亡くなったとき自宅の名義は妻・子どもどちらが最適か」でまとめています。

まとめ

  • 遺留分は配偶者・子・親に保障される最低限の取り分(兄弟姉妹にはない)
  • 2019年7月の改正で、遺留分の精算は原則お金で支払うことになった
  • 遺言で土地を一人に残しても、請求されれば現金が必要。払えなければ土地を売ることになりうる
  • 不動産が多い相続ほど、評価額の把握・現金の準備・家族の話し合いを生前に行う

アーキ不動産では、相続対策の段階からの不動産査定と、「残す・分ける・売る」のシミュレーションをお手伝いしています。岡山市中区で実家や土地の相続が見えてきた方は、相続が始まる前にご相談ください。司法書士・税理士とも連携して対応します。

執筆: アーキ不動産(株式会社アーキ・クリエイト)/ 岡山県知事免許(9)第3595号・岡山県宅地建物取引業協会会員。 記事の内容は公開時点の情報です。税制・法令の適用は個別の状況により異なるため、実行前に専門家へご確認ください。

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