空き家 公開: 2026.11.10
空き家を解体して更地にすると固定資産税が6倍になるのはいつから——仕組みを知れば判断できる
空き家を解体すると固定資産税が上がるのは「解体した翌年の1月1日」から。なぜ6倍なのか、住宅用地の特例・課税標準額・税率1.4%の仕組みをやさしく解説し、放置が得にならない理由と、払いすぎの確認方法まで、岡山市中区の一級建築士がまとめます。
動画でも解説しています: 実家の空き家を更地にしたら固定資産税が6倍になるのはいつ?【業歴30年のプロが解決!不動産のトラブル】/アーキ不動産(岡山市中区)
「空き家を解体して更地にすると固定資産税が6倍になると聞いた。6倍になるのはいつからですか」。ご相談でよくいただく質問です。
答えは、解体した翌年の1月1日からです。固定資産税は「1月1日時点の所有者に、1月1日時点の状態で課税される」と決まっているためです。たとえば2026年の秋に解体すれば、2027年1月1日の時点で更地と判定され、2027年度分から税額が変わります。
ただ、「6倍」という数字だけが広まり、仕組みが知られていないために、判断を誤っている方が多いと感じます。この記事では固定資産税の仕組みを順に見ていきます。
税率や特例の数値は一般的なものです。岡山市の都市計画税や個別の評価については、市の資産税課または税理士にご確認ください。
固定資産税は市町村が決める税金
固定資産税は市町村税です。国の方針(固定資産評価基準)に沿って、市町村が土地・建物を一件ずつ評価し、評価額を決めます。この評価額は、不動産にかかるさまざまな税金の基礎になるので、慎重に決められています。
税額は、評価額にそのまま税率をかけるのではなく、
評価額 → 課税標準額 → ×税率(多くの市町村で1.4%)
という順で計算されます。都市計画区域内であれば、これに都市計画税(上限0.3%)が加わります。
なぜ「6倍」なのか——住宅用地の特例
更地(建物が建っていない土地)の場合、課税標準額は評価額とほぼ同じです。
ところが、その土地に住宅が建っていると、住宅用地の特例が適用されます。
- 200平方メートルまでの部分(小規模住宅用地):課税標準額が評価額の6分の1
- 200平方メートルを超える部分(一般住宅用地):3分の1
たとえば評価額600万円の土地に家が建っていれば、課税標準額は100万円。これに1.4%をかけた約1万4,000円が土地の固定資産税です。家を壊して更地にすると、課税標準額は600万円に戻り、約8万4,000円になります。これが「6倍」の正体です。
(都市計画税にも同様の特例があり、小規模住宅用地で3分の1、一般住宅用地で3分の2になります)
建物の固定資産税は年々下がっていく
一方、建物にも固定資産税がかかります。新築時に市の職員が調査して評価額を決め、以後は年数とともに減価していきます。木造住宅であれば、築30年を超えた頃には評価額はかなり低くなっています。
つまり、築40年・50年の空き家が建つ土地は、「建物の税額はごくわずか、土地は6分の1」という、税金だけを見れば非常に安い状態になっています。だから「壊すと6倍になるなら、壊さずに置いておこう」という判断が生まれ、全国で空き家が増える一因になりました。
放置が得にならない理由——特定空家・管理不全空家
この問題に対して、国は2015年に空家等対策特別措置法を施行し、倒壊の危険や衛生上の問題がある空き家を**「特定空家」に指定して勧告すると、住宅用地の特例を外せるようにしました。さらに2023年12月の改正で、そのまま放置すれば特定空家になりうる「管理不全空家」**も、勧告を受ければ特例の対象外になりました。
つまり、「建物を残しておけばずっと6分の1」という前提は、もう成り立ちません。壊れかけた家を放置すれば、更地と同じ税額になったうえに、倒壊や近隣への損害の責任も残ります。
土地の評価は3年ごとに見直される
土地の評価額は3年に1回の評価替えで上がったり下がったりします。岡山市中区でも、駅周辺や再開発のあった地域では評価が上がった土地があります。「昔はこれくらいだった」という記憶で判断せず、最新の納税通知書で確認してください。
払いすぎていないか、一度確認を
もう一つお伝えしたいのは、固定資産税は間違った金額で課税されていることがあるという点です。住宅用地の特例が適用されていなかった、建物の床面積が実際と違っていた、という例は実際にあります。
私自身も何度か経験があります。間違いが見つかれば、原則として過去5年分は還付されます。ただし、それより前の分は戻ってきません。30年払いすぎていても、戻るのは5年分です。納税通知書の課税明細を一度見直し、不明な点は市の資産税課に問い合わせてみてください。
解体するかどうかは「税金」だけで決めない
6倍になるからといって解体をためらう必要はありませんし、逆に特例が外れるから急いで壊す必要もありません。売却するなら、古家付きで売ったほうが手残りが多い場合と、解体して売ったほうが有利な場合があります。費用の内訳は「空き家の解体費用はいくらかかる」、判断の実例は「相続した古い家、そのまま売る?解体して売る?」をご覧ください。
まとめ
- 固定資産税が変わるのは解体した翌年の1月1日から
- 住宅が建つ土地は課税標準額が6分の1(200平方メートルまで)。更地に戻ると元の額に戻るので「6倍」
- 特定空家・管理不全空家に勧告されると特例は外れる。放置は得にならない
- 土地の評価は3年ごとに変わる。払いすぎは5年分まで還付される
- 解体の判断は税金だけでなく、売却後の手残りで決める
アーキ不動産では、固定資産税の見方から、解体・売却のシミュレーションまで、一級建築士が建物を見たうえでご提案しています。岡山市中区の空き家でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
執筆: アーキ不動産(株式会社アーキ・クリエイト)/ 岡山県知事免許(9)第3595号・岡山県宅地建物取引業協会会員。 記事の内容は公開時点の情報です。税制・法令の適用は個別の状況により異なるため、実行前に専門家へご確認ください。