マンション売却をお考えの方の中には、「全体のイメージが全く掴めていない」「何から始めてみればよいか分からない」といった思いを抱えている方も多いのではないでしょうか。
最初は、マンション売却の流れを把握することをオススメします。
マンション売却の流れを把握すれば、勉強すべきこと、身内と話し合っておくべきこと、プロに質問するべきこと、用意しておくべきものなどがハッキリして、行動しやすくなるでしょう。
ここでは、マンション売却の一般的な流れ、および注意点や高く売却するためのポイントなど最初の段階で知っておくとよいと思われるトピックをお伝えしていきます。
マンション売却時のお金の流れ
これからマンション売却の一般的な流れをお伝えしていきますが、その前に、お金の流れを抑えておきましょう。
売却代金はいつ受け取れる?
「マンションの売却代金はいつ受け取れるの?」
マンション売却を考える多くの方が、この点を気にされています。いつ受け取れるのかで、資金計画が大きく変わってきますよね。
一般的に、売却代金を受け取るタイミングは、売買契約のときと、マンションを引き渡すときの2回あります。
まず、売買契約のときに、手付金を受け取ります。手付金の金額に決まり事はなく、売主さんと買主さんで話し合って決めることになります。相場としては、売買代金の5%~10%程度です。
その後、マンションを引き渡すときに、残金(売却価格から手付金を差し引いた額)を受け取ります。
※売買契約と引き渡しの間に、中間金のやり取りを行うケースも、ごくまれにあります。
マンション売却では、それまでの人生で取り扱ったことがないような大きなお金が動きます。金融機関の方のサポートもありますが、お金の管理には十分に注意してください。
ローン残債が残っている場合はどうする?
一般的に、マンションというものは、住宅ローンを組んで購入するものです。
「これから売却しようとするマンションには、まだ住宅ローンが残っているのだが…」
当然、このようなケースもあるでしょう。
住宅ローンが残っているマンションには、金融機関側が抵当権というものを設定しています。
抵当権とは、万が一、ローンの支払いができなくなった場合に、指定したもの(一般的にはローンの対象となっている物件)を差し押さえる権利のことをいいます。
通常は、この抵当権が残ったままでマンション売却をすることはできません。
マンション売却をするためには、残りのローンを繰り上げ返済した上で、抵当権の抹消手続きを行う必要があります。
そして、そのローンの繰り上げ返済には、マンションの売却代金を充当するのが一般的です。
↓
ローンの繰り上げ返済を行う
↓
抵当権の抹消手続きを行う
このような流れです。全てを引き渡し日に行います。
売却代金だけでは足りないという場合は
●自己資金を充当する
●「買い替えローン」を利用する
●任意売却をする
といった方法がとられます。
[自己資金を充当する]
ご自身が所有しているお金で残債分を支払うという方法です。数百万円、数千万円レベルの金額であっても分割払いはできませんので注意してください。
[住み替えローンを利用する]
住み替えローンとは、新居(購入するマンション)のローンに、旧居(売却するマンション)のローンの残債分を上乗せして組むローンのこといいます。
住み替えローンは、通常のローンよりも審査が厳しいです。住み替えローンのご利用は、収入に余裕のある人に限られるでしょう。
[任意売却をする]
任意売却とは、金融機関との交渉・合意のもと、ローンを残したまま、通常の手順で売却することをいいます。
任意売却をすると、ローンの延滞事故として、一定期間、個人信用機関に情報が記録されます。一般的にいう「ブラック」と言われる状態です。
任意売却は、最終手段として、主に競売を避ける手段として使われています。競売は物件を差し押さえられた場合に行われるもので、通常の手順で売却するよりも売却価格が著しく下がります。
ローン残債が残るマンションの売却について、より詳しく知りたい方は、以下の記事を参照してください。
ローン残債が残っている場合の銀行への連絡タイミング
抵当権の抹消手続きは、振込などのように即日で対応できるものではありません。あらかじめ金融機関に対して、「マンション売却が決まったら、抵当権を外す手続きをしてほしい」という連絡をしておいた方がよいでしょう。
それでは、金融機関への連絡は、どのタイミングで行えばいのでしょうか。
「売却代金でローンを全額返済する」「住み替えローンを利用する」など、いずれの方法をとるにせよ、マンション売却を始める時点で、一度金融機関へ連絡しましょう。
そして、金融機関からの案内もあるかとは思いますが、売買契約が決まった段階で、再度連絡しましょう。
通常、抵当権の抹消手続きは引き渡しの日に行うことになります。連絡をしておくことで、その間に準備をしておいてくれるでしょう。
金融機関への連絡が送れると、マンション売却の手続きが滞ってしまう可能性があるため、気を付けてください。
マンション売却の流れ・手順をつかむ
それではここから、一般的なマンション売却の流れをお伝えしていきます。
マンション売却前に考えること
まずはマンション売却前に考えておきべきこと、調査しておくべきことを3つ説明します。
売却か賃貸か
マンション売却を始める際、念のため、「賃貸マンションとして運用する」という手も検討してみてください。
売却と賃貸には、それぞれ下記のような特徴があります。
売却の特徴
・数百万円から数千万円のまとまったお金が手に入る
・売る力が必要
・維持管理から解放される
・住宅ローンの返済を考える必要がある
賃貸の特徴
・毎月、数万円から数十万円程度の収入を得られる
・経営手腕が必要
・現物資産として持ち続けられる
・とりあえずは住宅ローンの返済を考える必要がない
もちろん、どちらがよいのかはケースバイケースです。
マンションの資産価値やローン残債、ライフプラン、ご自身の賃貸経営者としての経営手腕など、様々な要素を考慮して検討する必要があります。
住宅ローンの残債確認
住宅ローンの残債がある場合は、その額がどのくらいなのか、最初の段階で確認してください。
住宅ローンの残債は、金融機関のWebサイト(インターネットバンキング)、金融機関から年に一度送られてくる残高証明書、ローンの契約時に金融機関から渡された返済予定表などで確認することができます。
売上相場を調査
自分が売り出そうとするマンションと条件が似ているマンション、つまり類似物件の売上相場を調査しましょう。
方法はいくつかありますが、ここでは簡単に調べられる3つの方法をご紹介します。
[土地総合情報システム]
土地総合情報システムは、国土交通省が運営しているWEBサイトで、不動産の取引価格や地価公示・都道府県地価調査に関する情報を閲覧することができます。
土地総合情報システムにある情報は、実際に不動産取引を行った人を対象したアンケート結果に基づいたもので、物件が特定できないよう加工されています。
[レインズ・マーケット・インフォメーション]
レインズ・マーケット・インフォメーションは、指定流通機構が運営しているWEBサイトで、指定流通機構が保有する成約価格などの不動産取引情報を閲覧することができます。
指定流通機構とは、不動産会社の間で不動産取引情報を共有するために、国土交通大臣が指定した公益法人のことで、通称「レインズ」と呼ばれています。
[セルフィン]
SelFin(セルフィン)は、不動産会社である「リニュアル仲介株式会社」が開発したWEBアプリで、不動産広告にある物件情報を入力するだけで、物件価格の妥当性や物件の善し悪しなどを判断することができます。
マンション売却の流れ
それではここから実際のマンション売却の流れについてみていきます。
①不動産会社選び
不動産の売却に成功するか失敗するかは不動産会社選びにかかっています。担当営業マンの能力次第ということです。
マンション売却のファーストステップである不動産会社選びでつまづくと、望む結果を得ることはできません。
慎重に、じっくりと不動産会社は選びましょう。
とはいっても、不動産会社は大手から地域密着の小さな業者まで含めるとコンビニよりも数が多いのです。その中から優良な不動産会社を選び、優秀な営業マンに担当してもらうにはどうすればいいのでしょうか?
不動産会社選びのコツ、良くない不動産会社に当たってしまったときの断り方など、詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
②査定依頼
不動産会社に査定を依頼します。
査定とは、立地や築年数、間取り、設備、市場動向、過去の売却事例などといった要素から、「どれくらいの売却価格になるか」を予想することをいいます。
なお、査定価格は業者さんによって大きく差が出るものです。不慣れなエリアであることから的外れな査定価格を出してくる業者さんもいますし、ただ自分のところで契約してもらいたいがために意図的に高い査定価格を出してくる業者さんもいます。
間違った査定価格でマンション売却を始めてしまうリスクを考えて、査定依頼は、できれば3社以上に出すのが理想です。
③必要書類準備
マンション売却を進めていくと、不動産会社さんから、物件の詳細や権利に関する情報の開示を求められますので、あらかじめ、必要となるであろう書類を用意しておきます。
マンション売却では、一般的に下記のような書類が必要となります。
登記済権利証もしくは登記情報識別通知 |
マンション購入時の売買契約書と重要事項説明書 |
固定資産税・都市計画税納税通知書 |
マンションの利用規約 |
エアコンなどの付帯する設備の説明書 |
④媒介契約の締結
査定結果や業者さんの印象などを参考にしながら、マンション売却を依頼する業者さんを決め、媒介契約を締結します。
媒介契約を締結した時点では、費用は発生しません。売買契約が成立したら、仲介手数料を支払うことになります。
⑤売却活動スタート
媒介契約をしたら、いよいよマンションの売却活動がスタートします。
売却活動は、主として不動産会社さんが行います。
具体的に行うこととしては、チラシをポスティングする、フリーペーパーに広告を掲載する、不動産情報サイトに広告を掲載する、現地に看板を設置するなどなど。
だいたい月に1件~5件ほど、内覧の申し込みが入るので、日程調整などを行った上で対応します。必要に応じて事前の掃除も行います。
⑥売買条件の調整
購入希望者さんから、金額や引き渡し日など売買条件の交渉を持ちかけられることがあるので、対応します。
なお、直接交渉するのは避けましょう。口頭での約束で終わることがあり、後々、トラブルの種になりかねません。交渉は、不動産会社を通して行うようにしてください。
⑦売買契約を締結
購入する意思の固まった方が現れたら、細かい契約条件を調整した上で、売買契約を締結します。具体的には、契約書・重要事項説明書の内容を確認した後、署名・押印をし、買主さんは売主さんに対して、売却価格の一部を手付金として支払います。
当然のことながら、これ以降、簡単にキャンセルができなくなります。買主さんから契約を解除する場合は、手付金を放棄する必要があります。売主さんから契約を解除する場合は、手付金を返還した上で、さらに手付金と同じ金額を買主さんに支払う必要があります。
⑧引き渡し
最後のステップです。
・売却代金の残金の受け取り
・住宅ローンの繰り上げ返済
・抵当権の抹消手続き
・登記の変更手続き
・鍵や各種書類(権利証やマンションの利用規約など)の受け渡し
これらを、不動産会社さん、買主さん側の金融機関(住宅ローンの繰り上げ返済をする場合)、売主さん側の金融機関(住宅ローンを借りる場合)、司法書士さん(登記の変更手続きを司法書士に依頼する場合)立ち合いのもと、すべて同日に行います。
行う場所は、原則、買主さんが指定する場所です。買主さんが住宅ローンを借りる場合は、金融機関で行うのが一般的です。
これ以降、売主さんは、無断でそのマンションに立ち入ることができなくなります。
マンション売却までの期間
マンションの売り出し開始からどれくらいの期間で売れるものなのか、というのは多くの人が気になるところだと思います。
マンション売却にかかる期間について解説します。
平均的な期間
マンション売却の一般的な流れをご紹介してきました。
では、このマンション売却には、どれくらいの時間がかかるのでしょうか。お仕事がお忙しい場合や引越しに期限がある場合などは、この点が特に気になるでしょう。
一般的に、売却活動がスタートするまでで約2週間、売却活動がスタートしてから買主さんが現れ契約に至るまでで3ヶ月程度、契約から引き渡しまでで1ヶ月程度の時間がかかります。合計すると、4ヶ月半ですね。
なお、一般的に、売却価格を安く設定すると短期間になる傾向が、売却価格を高く設定すると長期間になる傾向があります。
売れない期間が長く続く理由
「一生懸命にやっているつもりなのだが、どういうわけか、売れる気配が全然ないんだよね」
これはマンション売却でよくある悩みです。売れない期間が長引いてしまう理由には、主に次の2つがあります。
売出価格が不適正
多くの方が「なるべく高い価格で売却したい」と考えることでしょう。しかし、売出価格をあまりに高く設定してしまうと、問い合わせも内覧申し込みもほとんど来ない、ということが起こり得ます。
ある程度、問い合わせや内覧申し込みがあるのであれば、条件の交渉を行う、お客様の反応を見ながら売り方を変えていくなど、何らかの形で物事が進んでいく可能性がありますが、問い合わせも内覧申し込みもなければ、何の手も打てず、ただ時間だけが過ぎていくことになります。
不動産会社がきちんと動いていない
不動産会社の担当営業マンの中には、最後まで一生懸命に動いてくれる方がいる一方で、途中からだんだんに熱が冷めていく方もいます。
「仕事なんだからベストを尽くすのが当たり前」という見方もありますが、相手も一人の人間です。あまりに物件の人気がなかったり、あまりに売主さん側からの要求が高かったりすれば、他の案件に力を注ぐようにもなります。
もしそのような様子が伺えるようなら、「進捗ありますか?」「こちらで何かすることはありますか?」「条件を変えた方がよいですか?」などと聞いてみてください。売主からのコミュニケーションがあると、「もっと頑張ってみよう」「協力体制を築いてやっていこう」といった意識が働くようになるかもしれません。
マンション売却のタイミング
マンション売却にもタイミングというものがあります。
1月~3月は、比較的スムーズに売却できる傾向があります。なぜなら、4月からの入学、入社、転勤などに合わせて、新しい住まいを探す人が増えるからです。
ただその時期は、不動産業界の繁忙期にあたるため、不動産会社さんからのレスポンスが遅くなる、手違いが発生しやすくなるなどといったことはあるかもしれません。
また、「街が再開発される」「最寄り駅が改装される」「近場に大型商業施設ができる」など、周辺の利便性が向上するような変化が起きるときは、どんどん地価が上昇していきますので、高値での売却がしやすくなります。
そして気を付けたいのが、競合がいる時期です。近隣で似たような条件のマンションが売りに出されていると、売却期間が長引いてしまったり、価格競争をさせられたりすることがあります。競合がいる場合は、あえて時期をずらすということも考えた方がよいでしょう。
マンション売却における注意点
マンション売却における注意点を、売却前、売却中、売却後の3つのフェーズに分けて、ご紹介していきます。
売却前の注意点
家族間での意思統一は、マンション売却が始まる前までに行っておきましょう。
具体的な内容としては、
「いくら程度まで値下げ可能か」
「タイムリミットをいつにするか」
「内覧には誰が対応するか」
「内覧時には各自の部屋を見せても大丈夫か」
「近所の人に秘密にして進めていくのか」
などなど。
いったん売却が始まったら、不動産会社さん、購入希望者さん、金融機関さんなど、多くの方を巻き込んでいくことになります。そんな中、家族間で意思が統一されていなかったらどうなるでしょうか。
家族間で意志が統一されていなかったことから、対応が遅れて関係者を怒らせてしまった、進めた話が全て流れてしまった、などといった例が意外とありますので、気を付けてください。
売却中の注意点
マンション売却が始まったら、だいたい月に1件~5件ほど、内覧の申し込みが入ってきます。確実に対応できるよう、スケジュールには余裕を持つようにしてください、
「自分のスケジュールによっては都合がつかないときもあるかも。本当にマンションが気になるなら、向こうも調整をしてくれるだろう。」などと考えるのはとても危険です。
買い物するときでも、食事をするときでも、「よし、ここに入ろう」と思ったお店の対応があまりに遅くて、他のお店に行ったーー このような経験はどなたにでもあるでしょう。
マンション売却においても同じことです。購入希望者さんは、いくつものマンションを同時に検討しています。せっかくのチャンスを自ら逃さないようにしたいものです。
売却後の注意点
マンション売却は長丁場になります。
いつもより念入りに掃除をして、内覧対応をして、状況を見ながら価格を変えてーー 「本当に売れるのか?」と不安になって、「期限に間に合うのか?」とイライラしてーー
こういった慣れない経験から、精神的にも肉体的にも、疲労が積み重なっていきます。
マンションを買ってくれるという人が現れたとき、「やっと終わった、これで楽できる」と気が抜けてしまう人も多いですが、その後にもやるべきことはたくさんあります。
契約書・重要事項説明書の内容の把握、大金の管理、新居探し、引越しの準備、住所変更手続きなどなど。特に契約とお金に関することについては、慎重に行っていかなくてはなりません。
気を抜き過ぎないように注意してください。
マンションを高く売却するためには、マンション売却に失敗したと感じている人の体験談を知っておくのもいいでしょう。同じ失敗をしないように、事前に失敗しやすいポイントをチェックしておくことをおすすめします。
マンション売却に失敗した人の体験談は以下の記事で紹介しています。
マンションを高く売却するための7つのポイント
マンション売却を考える多くの方が、なるべく高く売却することを考えていることでしょう。ここでは、マンションを高く売却するためのポイントを7つご紹介していきます。
各ポイントを解説しますが、何より重要なのは「買主さんの心理を考えること」です。
ご自身が何かを購入するときには、売り込まれたら嫌だし、怪しいものは買いたくないし、できるだけリーズナブルに買いたいと思うはずです。
それがなぜか売主の立場に立つと、買主さんの心理を忘れてしまう方がいらっしゃいます。
すべては、どうすれば買主さんが買いたくなるかを考えることです。
①時間の余裕を持つ
マンションは非常に高いものです。多くの買主さんにとって、人生で一番大きな買い物になります。
日常的に買っている食品や日用品などは違い、1分2分で買うかどうかの決断はできません。買主さんは、買い物に失敗しないよう、家族や友人に相談したり、他の物件と比較したりします。買うかどうかの決断をするまでに、数週間から数ヶ月程度の時間がかかるものです。
マンション売却に対して、どの程度の時間を費やそうとしていますか? 1ヶ月、2ヶ月程度では短すぎます。買主さんにとって、十分に考える時間がなければ、売れる物も売れなくなります。
【マンション売却までの期間ー平均的な期間】セクションで「マンション売却には4ヶ月半程度の時間がかかる」とお伝えしましたが、上記のような事情を考慮して、できれば半年程度みておきたいところです。
②不動産会社の担当営業マン選び
不動産会社の担当営業マンとは、マンション売却が終わるまでの数ヶ月の間に、何度もコミュニケーションをとることになります。不明点を質問する、アドバイスを受ける、価格変更の相談をする、進捗報告を受ける、内覧申し込みの連絡を受けるなどなど。
パートナーとなる担当営業マンを見るとき、能力や経験なども大事ですが、相性もまた大事です。あまりに相性が悪いと、勘違いやすれ違いからトラブルが起こりやすくなります。
担当営業マンは、性格的に合う方、親しみを感じられる方、会話をしていてストレスがない方が望ましいでしょう。
③瑕疵担保保険
マンション売却に取り組む際は、「瑕疵(かし)」という言葉を知っておいてください。瑕疵とは、たとえば「給湯器からお湯が出ない」「雨漏りがする」「床下が腐敗している」などといった欠陥や不具合のことです。
マンションを引き渡した後、売主さんも買主さんも、そして不動産会社さんも把握していなかった瑕疵が見つかることがあります。
その際、売主さんには、修繕費用を負担しなけばならない「瑕疵負担責任」があります。瑕疵負担責任の期間は、中古マンション売却の場合、2、3ヶ月とするケースが多いです。
買主さんの中には、「売主さんの会社が倒産するなどして修繕費用を負担してもらえなくなったらどうしよう?」「瑕疵負担責任の期間を過ぎてから瑕疵が見つかったらどうしよう?」などという不安を持たれる方がいます。
そこで登場するのが「瑕疵担保保険」です。売主さん側で瑕疵担保保険に入っておけば、任意の期間において、修繕に必要な費用を保障することができます。瑕疵担保保険に加入しておけば、買主さんからの評価は高くなるでしょう。
さらに25年を超えたマンションを売却する場合、保険の審査に通った物件であれば、買主さんは住宅ローン控除を受けることができます。
買主さんの安心材料となり、売却しやすくなるというメリットもあります。
④ハウスクリーニング
内覧は、できるだけきれいな状態で行いたいものです。
居室の壁紙がタバコで黄色い、キッチンの換気扇が油まみれ、洗面所のシンク周りに水垢がたくさん、バスルームにカビ汚れがたくさんーー どんなによい物件であっても、このような状態であれば、購入希望者さんの購入意欲が下がってしまいます。
内覧をする前には、きちんと掃除をするようにしましょう。
ご自身では対処できない汚れがたくさんある場合は、ハウスクリーニングを依頼するのもよいと思います。ハウスクリーニングとは、専門業者さんによる大掛かりな掃除サービスのことです。もちろん、費用は掛かりますが、購入希望者さんからの印象は大分よくなります。
⑤きれいな写真を撮る
マンションの特徴や良さというものは、文字だけではなかなか伝わらないものです。写真も重要となってきます。
広告でもホームページでも、写真はなるべくきれいなものを載せましょう。その方が見てもらいやすく印象もよいです。
きれいな写真を撮るためには、「余計なモノを片づけておく」「なるべく部屋を明るくする」「手振れを防ぐため三脚を使用する」「画質の良いカメラを使用する」などがポイントになります。
写真撮影については、不動産会社さんの方で行ってくれるケースも多いですが、ご自身で行う場合は参考にしてください。
⑥デメリットも隠さずに
広告でも、内覧時のPRなどでも、デメリットは隠さずに伝えるようにしてください。デメリットとは、たとえば、窓が北向き、周辺にコンビニが少ない、取れない汚れがある、設備が古いなどといったことです。
隠し事をする人と隠し事をしない人、信用されるのはどちらでしょうか。当然、後者ですよね。デメリットを隠さずに伝えた方が、購入希望者さんとよい関係を築きやすくなります。それだけ気持ちよく進めていけるようになるでしょう。
もちろん、デメリットを伝えることによって離れていってしまう方もいますが、特に気にしない方もいます。そもそも完璧なものを求めている方はそう多くはいません。
最も避けたいのが、契約や引き渡しなど、ある程度進んだ段階で、デメリットが発覚して、話が流れてしまうことです。この場合、時間やエネルギーを無駄にするだけでなく、悪い噂を流されてしまうこともあります。
⑦内覧時の明るい対応
内覧時は明るい対応を心がけましょう。
挨拶に元気がなかったり笑顔がなかったりして、暗い雰囲気になってしまうと、相手はどうしても遠慮するようになります。たとえば「突っ込んだ質問ができない」「なんとなく長居しにくい」などなど。
これはお互いにとってメリットがありません。相手を遠慮させてしまうと、十分なチェックができないまま内覧を終えてしまう、といったことも起きてくるしょう。当然、十分なチェックができないままでは、購入の決断はできません。
気になったことは何でも質問してもらうーー 納得できるまでじっくりと見てもらうーー このような内覧が理想です。
購入希望者さんを無駄に遠慮させないよう、明るい対応を心がけてください。
マンション売却を納得いく価格で成功させるには、買主さんに納得・満足してもらうことが絶対条件です。
そのための鍵が内覧です。
内覧を成功させるポイントを下記の記事でより詳しく解説しています。併せて読んでみてください。
不動産査定の一般的な流れ
マンション売却を成功させるためには、不動産会社との協力が不可欠です。そのためには不動産会社がどのような流れで物件査定をするのか知っておいたほうが良いでしょう。
ここから、不動産査定の一般的な流れについて説明します。
簡易査定(机上査定)
簡易査定とは、立地や築年数、間取りなどといった書類データのみで査定価格を算出する査定方法のことです。机上で行うことから、机上査定とも呼ばれています。
簡易査定は、現地で行う必要がないため、早ければ数時間程度で査定結果を知ることができます。
マンション売却の検討段階にいる方、おおよその価格だけを知りたいという方に向いている査定方法です。
詳細査定(訪問査定)
詳細査定とは、実際に現地まで出向いて、建物の状態、日当たり、眺望、近隣道路、近隣施設など、書類データだけでは分からないところをチェックした上で、査定価格を算出する査定方法のことです。訪問査定とも呼ばれています。
詳細査定は、訪問自体に1時間程度、査定結果が分かるまでに数日程度かかるのが一般的です。
マンション売却を具体的に検討している方に向いている査定方法です。
インスペクションとは?
インスペクションとは、住宅の設計・施工に詳しい専門家による物件の検査のことです。
インスペクションを行うことで、物件の状態を客観的に提示できるようになるため、適正な価格での査定をしてもらいやすくなります。
売却査定価格の決め方
査定価格を算出する方法には、
①収益還元法、
②原価法、
③取引事例比較法
の3つの方法があります。
①原価法
原価法とは、査定対象物件の再調達原価(同じ建物を再度建てるのに要する費用)をベースにして、対象物件の査定価格を算出する方法のことです。
②取引事例比較法
取引事例比較法とは、査定対象物件と条件の似ている物件の取引事例を参考にして、査定価格を算出する方法のことです。
③収益還元法
収益還元法とは、査定対象物件が、「将来どれくらいの家賃収入を得られるか」という収益性に基づいて、査定価格を算出する方法のことです。
収益還元法には、短期的(1年間とするのが一般的)に得ると予想される利益から査定価格を算出する「直接還元法」と、長期的に得ると予想される利益と必要経費から査定価格を算出する「DCF法」があります。
まとめ
マンション売却は、人生でそう何度も経験することではありません。ほとんどの方にとって、はじめての経験となるのではないでしょうか。
マンション売却がはじめての場合、分からないことだらけ、不安だらけだとは思いますが、全体の流れを把握できると、イメージが湧いてきます。
やるべきことがハッキリするでしょう。不動産会社さんとのコミュニケーションもしやすくなるでしょう。
この記事が、マンション売却のよいスタートを切るための一助となれば幸いです。
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